DXパスポートとITパスポートの違い|実施団体・出題範囲・試験形式を比較、どちらから受けるか
DXパスポート試験とITパスポート試験は、名前がよく似ていて、どちらも「ITやデジタルの基礎を問う入門の試験」として紹介されます。ただ、実施している団体も、試験の位置づけも、問われる範囲も違います。この記事では2つの試験を比べ、目的に応じてどちらから受けるとよいかを整理します。
いちばん大きな違い:国家試験か、民間の試験か
- ITパスポート試験は、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験です。情報処理技術者試験というシリーズの入口にあたります。
- DXパスポート試験は、一般財団法人 全日本情報学習振興協会が実施する民間の試験です。DXに範囲を絞った基礎知識の試験です。
就職活動や社内の昇進要件として名前を挙げられることが多いのは、国家試験のITパスポートです。DXパスポートは、DXの用語と事例、AIやクラウドなどの技術の基礎を短期間で学びたい人向けの試験と考えると分かりやすいでしょう。
試験の比較表
| 項目 | DXパスポート試験 | ITパスポート試験 |
|---|---|---|
| 実施団体 | 全日本情報学習振興協会 | IPA(情報処理推進機構) |
| 位置づけ | 民間の試験 | 国家試験(情報処理技術者試験) |
| 試験日 | 協会が決めた試験日(次回は2027年1月31日) | CBT方式で通年実施(空いている日時と会場を予約) |
| 問題数・時間 | 60問・60分 | 100問・120分 |
| 出題形式 | 2択30問・4択30問 | 四肢択一 |
| 合格基準 | 360点満点の70%以上(難易度により調整される場合がある) | 総合評価点600点以上(1000点満点)かつ3分野それぞれ300点以上 |
| 受験料(税込) | 9,350円 | 7,500円 |
(出典: DXパスポートは全日本情報学習振興協会 公式サイトのDXパスポート試験のページ(2026年10月確認)、ITパスポートは IPA の ITパスポート試験の案内(2026年9月確認))
ITパスポートはいつでも受けられるのが大きな特徴です。準備ができた時点で予約して受験できます。DXパスポートは協会が決めた試験日に受けるので、申込締切から逆算した準備が要ります(日程はDXパスポート試験の試験日程)。
出題範囲の違い
DXパスポート:DXの「現状」と「技術」に絞る
| 課題 | 内容 |
|---|---|
| 第1課題 DXの現状 | DX総論(DXの定義、DXレポート、デジタルガバナンス・コード)、業種別DXの事例、DX企業のビジネスモデル |
| 第2課題 DXの技術 | AI、ビッグデータ、IoT、クラウド、情報セキュリティ |
ITパスポート:経営からIT技術まで幅広く
| 分野 | 出題数 | 内容 |
|---|---|---|
| ストラテジ系 | 35問 | 企業活動、法務、経営戦略、システム戦略 |
| マネジメント系 | 20問 | システム開発、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム監査 |
| テクノロジ系 | 45問 | 基礎理論、コンピュータシステム、データベース・ネットワーク・セキュリティ |
重なるのは、AI・IoT・クラウド・情報セキュリティといった技術の基礎と、ビジネスモデルなど経営に関わる用語です。ITパスポートには、これに加えて会計・法務・プロジェクト管理・2進数や論理演算などの基礎理論も入ります。
一方、DXパスポートの第1課題にある国のDX施策(DXレポート、デジタルガバナンス・コード、DX認定)や業種別の事例は、ITパスポートより踏み込んで問われる部分です。
まとめると、ITパスポートは範囲が広く、問題数も多い試験、DXパスポートはDXに範囲を絞った、問題数の少ない試験です。
合格基準の違い
ITパスポートは、総合評価点が600点以上でも、3分野のどれか1つが300点未満なら不合格になります。苦手な分野を捨てられない仕組みです(詳しくはITパスポート試験とは)。
DXパスポートは、2択が1問4点・4択が1問8点の配点で、360点満点の70%(252点)が合格の目安です。協会の案内では課題ごとの基準は示されていませんが、配点の3分の2を占める4択の出来が合否を左右します(詳しくはDXパスポート試験とは)。
「DX推進パスポート」との関係
もう1つ、名前の似たものにDX推進パスポートがあります。これは試験ではなく、デジタルリテラシー協議会が発行するデジタルバッジです。ITパスポート試験・データサイエンティスト検定(リテラシーレベル)・G検定のうち、合格した試験の数に応じて発行されます。
ITパスポートに合格すると、DX推進パスポートのバッジを申請できます。DXパスポート試験は、このバッジの対象試験には含まれていません。 バッジを目当てにしている場合は、ITパスポートを選んでください。
どちらから受けるか
| 目的 | おすすめ |
|---|---|
| 就職活動や社内の要件で、国家試験の資格がほしい | ITパスポート |
| DX推進パスポートのバッジを取りたい | ITパスポート |
| DXの推進部署に配属され、DXの用語と事例を短期間で押さえたい | DXパスポート |
| ITに苦手意識があり、まず範囲の狭い試験で基礎に慣れたい | DXパスポートから始めて、ITパスポートへ |
両方を受けるなら、DXパスポート → ITパスポートの順がおすすめです。DXパスポートで学ぶAI・クラウド・セキュリティの基礎は、ITパスポートのテクノロジ系とストラテジ系の一部にそのまま使えます。ITパスポートが先の場合も、DXパスポートの第2課題の多くは復習で対応でき、第1課題の国の施策と業種別の事例を上乗せする形になります。
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それぞれの模擬試験を1回ずつ受けてみると、どちらが今の自分に近いか、どれくらいの準備が要るかが具体的に分かります。
受験料・試験日程・出題範囲・バッジの発行条件は変わることがあります。申込の前に、必ず各実施団体の公式サイトで最新の案内を確認してください。