賃貸不動産経営管理士と宅建士の違い|合格率29.5%と18.7%
賃貸不動産経営管理士と宅建士(宅地建物取引士)は、どちらも不動産業界で名前が挙がる国家資格ですが、扱う業務範囲はまったく別物です。「賃貸物件を扱うなら賃貸不動産経営管理士だけで足りるのか」「宅建士を持っていれば十分なのか」「同じ年に両方受けられるのか」という質問は多く聞かれます。この記事では、令和8年度(2026年度)の最新日程をもとに、2資格の違いと受験の優先順位を整理します。
比較表:賃貸不動産経営管理士と宅建士(令和8年度)
| 項目 | 賃貸不動産経営管理士 | 宅建士 |
|---|---|---|
| 実施団体 | 賃貸不動産経営管理士協議会 | 不動産適正取引推進機構 |
| 試験日 | 2026年11月15日(日) | 2026年10月18日(日) |
| 申込締切 | ネット9月30日(受付中) | 7月31日(受付終了・次回は令和9年度) |
| 受験料 | 12,000円 | 8,200円 |
| 問題数 | 50問(免除者45問) | 50問(免除者45問) |
| 受験者数(令和7年度) | 31,792人 | 245,463人 |
| 合格率(令和7年度) | 29.5% | 18.7% |
| 合格点(令和7年度) | 38点/50点 | 33点/50点 |
| 難易度 | 標準 | やや難しい(出題範囲が広い) |
| 向いている人 | 賃貸管理会社で働く・働きたい人 | 売買・仲介も含め不動産業界全般で通用する資格が欲しい人 |
※本記事公開時点(2026年9月3日)では、宅建士(10月18日実施)の受験申込は7月31日で締め切られており、新規の申込はできません。次回(令和9年度)は例年どおりなら2027年7月ごろに申込が始まる見込みです。賃貸不動産経営管理士(11月15日実施)はネット申込を9月30日まで受け付けています。
業務範囲がそもそも違う2資格
もっとも大きな違いは、宅建士は不動産の「売買・賃貸の仲介」を扱う独占業務のある国家資格、賃貸不動産経営管理士は「賃貸住宅の管理」に特化した資格という点です。
宅建士は、重要事項説明や37条書面(契約書面)への記名など、宅建士本人にしかできない独占業務を持ちます。宅建業者は事務所の従業者5人に1人以上の割合で専任の宅建士を置く義務があります。
一方の賃貸不動産経営管理士は、2021年6月施行の賃貸住宅管理業法において、管理業者が設置を義務づけられている「業務管理者」の要件のひとつです。賃貸不動産経営管理士として登録すればそのまま業務管理者になれますが、業務管理者には「指定講習を修了した宅建士」も就くことができます(この場合は追加講習が必要)。つまり、賃貸管理の実務では宅建士も講習を受ければ業務管理者になれるが、賃貸不動産経営管理士にしかできない独占業務はないという非対称な関係にあります。
宅建士の受験者数(245,463人)は賃貸不動産経営管理士(31,792人)の8倍近く、出題範囲も権利関係(民法)・法令上の制限・税法まで含む分、対策に必要な学習時間は宅建士の方が長くなる傾向があります。賃貸不動産経営管理士は、賃貸住宅管理業法・借地借家法・管理受託契約など、賃貸管理の実務に絞った範囲が中心です。
どちらを先に取るべきか
結論として、先に取るべきは宅建士です。理由は次の3つです。
- 独占業務があり、汎用性が高い。宅建士は売買・賃貸どちらの仲介にも使える資格で、不動産業界内での通用範囲が広い。賃貸管理に絞る予定でも、将来の選択肢を狭めない。
- 難易度が高い分、勢いのあるうちに片づけた方が効率的。宅建士の方が学習範囲・必要時間ともに大きいため、先に負荷の高い方を終えておくと、賃貸不動産経営管理士の学習は比較的スムーズに進む。
- 宅建士+登録講習で業務管理者にもなれる。賃貸管理の実務だけを見ても、宅建士を起点にした方が選択肢が広がる。
ただし、賃貸管理会社への就職・転職がすでに決まっていて、宅建士の独占業務(売買・仲介)を使う予定が当面ない場合は、賃貸不動産経営管理士から先に取得しても実務上の支障はありません。学習範囲が狭く合格率も高いため、短期間で「業務管理者になれる資格」を確保できるのは実利があります。
同じ年に両方受けられるか
試験日は宅建士が10月18日、賃貸不動産経営管理士が11月15日と、約1カ月差です。日程だけを見れば、同じ年に両方合格を狙うことは十分可能な間隔です。
ただし注意が必要なのは申込時期です。宅建士は7月末、賃貸不動産経営管理士は9月末が申込締切と、宅建士の方が2カ月早く締め切られます。本記事公開時点(2026年9月3日)ではすでに令和8年度の宅建士申込は終了しているため、今から始める方が今年中に両方受けるルートは選べません。
- 令和8年度(今年)に受けられるのは賃貸不動産経営管理士のみ(11月15日実施、申込は9月30日まで)。宅建士は令和9年度(2027年、例年7月申込・10月実施の見込み)に持ち越しになります。
- 来年以降に向けて計画するなら、7月中に宅建士の申込を済ませて10月に受験し、その勢いのまま9月末までに賃貸不動産経営管理士の申込も済ませて11月に受験という1シーズン2資格の流れが組めます。宅建士対策で身につけた借地借家法などの知識は、そのまま賃貸不動産経営管理士の対策にも生きます。
まとめると、日程上の相性は良いものの、宅建士の申込締切が先に来ることを見落とすと「気づいたら片方しか申し込めなかった」となりやすいというのが実情です。両方を狙うなら、7月中の宅建士申込を最優先で押さえておく必要があります。
まとめ:基本は宅建士から
賃貸不動産経営管理士と宅建士は、業務範囲も試験日も異なる2資格です。合格率は賃貸不動産経営管理士29.5%、宅建士18.7%(いずれも令和7年度)。試験日は10月18日と11月15日で約1カ月差、日程上は同じ年の併願も可能ですが、宅建士の申込締切(7月末)が先に来る点に注意が必要です。
汎用性と独占業務を考えると、基本は宅建士を先に取得し、賃貸管理に軸足を移す段階で賃貸不動産経営管理士を追加するのが着実なルートです。
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