企業危機・コンプライアンス管理士の勉強法と勉強時間|広い6課題を「型」で整理する独学の進め方
企業危機・コンプライアンス管理士認定試験は、80問・120分で、合計70%が合格の目安です。範囲は6つの課題にまたがり、法令から広報・BCPの実務まで幅広く出題されます。この記事では、勉強時間の目安と、広い範囲を効率よく押さえる進め方をまとめます。
試験の全体像は企業危機・コンプライアンス管理士認定試験とはで整理しています。
勉強時間の目安
協会は勉強時間の目安を公表していないので、ここに書くのは当サイトの目安です。
| これまでの経験 | 勉強時間の目安 | 期間の例 |
|---|---|---|
| 法務・内部監査・リスク管理の実務経験がある | 20〜30時間 | 1日1時間で1か月 |
| 総務・広報などで、社内規程や研修に関わったことがある | 30〜35時間 | 1日1時間で1か月〜1か月半 |
| 企業法務やリスク管理を学んだことが無い | 40時間前後 | 1日1時間で1か月半〜2か月 |
範囲が広いぶん、全部を深くやろうとしないことが大事です。第2・第3・第6課題は考え方を一度整理すれば得点が安定し、第1・第5課題は法令の名前と要点を押さえる、という配分が効率的です。
教材は「公式テキスト+問題演習」
- 公式テキスト: マイナビ出版から公式テキスト(2024年4月発売)が出ています。範囲を一通り押さえる基本の1冊です。発売後の改正(取適法、コーポレートガバナンス・コードの2026年改訂など)は、新しい資料で補ってください。
- 問題演習: 当サイトの練習問題160問と、本番と同じ80問・120分の模擬試験。無料で、登録は要りません。
進め方:考え方の課題から入る
1. 第2課題「リスクと危機」で土台を作る
最初に取り組むのは第2課題です。ここで覚える用語が、ほかの課題すべての土台になります。
- リスクの定義: ISO 31000では「目的に対する不確かさの影響」。よい方向の影響も含む
- リスクマネジメントのプロセス: リスクの特定 → 分析 → 評価 → 対応、と、それを支えるコミュニケーション・モニタリング
- リスク対応の選択肢: 回避・低減・移転・保有。保険は「移転」、事業からの撤退は「回避」
- リスクと危機の違い: リスクは「起こるかもしれない」もの、危機(クライシス)は「すでに起きた・起きつつある」重大な事態
2. 第3課題と第6課題は「平時」と「有事」で整理する
第3課題(危機管理体制の構築)と第6課題(自然災害と危機管理)は、平時に何を準備し、有事に何をするかで整理すると覚えやすくなります。
| 平時 | 有事 | |
|---|---|---|
| 体制 | リスク管理委員会、規程とマニュアル、報告ルートの決定 | 危機対策本部の設置、権限の集中、情報の一元化 |
| 準備 | 訓練・演習、備蓄、連絡網、代替拠点 | 安否確認、初動対応、重要業務の優先再開 |
| BCP | 重要業務と目標復旧時間(RTO)の決定 | 計画の発動、代替手段での業務継続 |
内部通報制度は、公益通報者保護法の体制整備義務(常時使用する労働者が300人を超える事業者)、従事者の指定、通報者を特定させる情報の守秘を押さえます。2025年の改正(2026年12月1日施行予定)で、通報を理由とする解雇・懲戒に刑事罰が設けられる点も押さえておきます。
3. 第4課題「危機管理広報」は「やってはいけない対応」から覚える
危機管理広報は、常識で判断できる部分が多い一方、選択肢に「もっともらしい誤り」が混ざります。
- 事実が確定するまで一切発表しない(→ 分かっている事実と対応を、早く・分かる範囲で出す)
- 記者会見で「ノーコメント」を繰り返す(→ 隠しているという印象を与える)
- 謝罪と同時に、責任を取引先や担当者個人に押しつける
- SNSで批判されたとき、投稿者に反論したり投稿を削除させようとしたりする
あわせて、ポジションペーパー(会社の見解をまとめた文書)とホールディングステートメント(詳細が分かる前に出す一次的な声明)の違いも押さえておきます。
4. 第1・第5課題は「法令の名前と要点」に絞る
第1課題(企業の社会的責任)と第5課題(企業危機各論)は、法令や制度の名前が多く出てきます。深追いせず、どの法令が、どんな行為を規制しているかを表で整理します。
| テーマ | 主な法令・制度 |
|---|---|
| 不正会計・インサイダー取引 | 金融商品取引法 |
| カルテル・入札談合・優越的地位の濫用 | 独占禁止法(課徴金減免制度) |
| 下請取引 | 中小受託取引適正化法(取適法、2026年1月施行。旧下請法) |
| 不当表示 | 景品表示法 |
| 情報漏えい | 個人情報保護法(漏えい等の報告)、不正競争防止法(営業秘密) |
| 製品事故 | 消費生活用製品安全法(重大製品事故の報告) |
| 内部統制・ガバナンス | 会社法、金融商品取引法の内部統制報告制度、コーポレートガバナンス・コード |
名前の変わった法令や、改訂された制度は、新しい名称・内容で覚えることが大事です。
6週間のスケジュール例
1日1時間、企業法務を学んだことが無い人を想定した例です。
| 週 | やること |
|---|---|
| 1週目 | 模擬試験で現在地を確認。第2課題「リスクと危機」の20問 |
| 2週目 | 第3課題「危機管理体制の構築」の20問。内部通報制度を整理する |
| 3週目 | 第6課題「自然災害と事業継続」と第4課題「危機管理広報」の40問 |
| 4週目 | 第1課題の40問(社会的責任・ガバナンスと内部統制) |
| 5週目 | 第5課題の40問(不祥事と法令違反・情報漏えいと製品事故)。法令の表を作る |
| 6週目 | 間違えた問題の解き直し。模擬試験をもう一度受け、56問(70%)以上を確認 |
まとめ
- 勉強時間の目安は、経験に応じて20〜40時間前後。範囲が広いので深追いしない
- 第2課題のリスクマネジメントの用語を土台にする
- 体制とBCPは「平時と有事」、広報は「やってはいけない対応」で整理する
- 法令は名前と要点を表にし、改正後の名称・内容で覚える
試験日と申込締切は企業危機・コンプライアンス管理士の試験日程で確認できます。練習問題はこちらから、第1問から順に解けます。