【問199】ビジネス実務法務検定2級 練習問題|荷為替信用状の独立抽象性
企業と従業員・地域社会・国際法務 問19/20難易度B(標準)
問題文
貿易取引の決済に用いられる荷為替信用状(L/C)の法的性質に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.発行銀行は、売買契約上の抗弁を援用して信用状に基づく支払を拒むことができる。
- 2.銀行は、呈示された書類の記載内容のみならず、現実に船積みされた物品の品質や数量についても確認する義務を負う。
- 3.信用状取引は基礎となる売買契約とは別個の取引として扱われ、銀行は書類の呈示に基づいて支払う。
- 4.信用状は、取消不能である旨の明示がない限り、発行銀行が一方的に取り消すことができる。
解説
正解は3。荷為替信用状は、輸入者の依頼により発行銀行が輸出者(受益者)に対して、信用状の条件に一致する書類の呈示を条件として代金の支払を確約するものである。信用状統一規則は、信用状はその基礎となる売買契約とは別個の取引であって銀行は売買契約に拘束されないという独立抽象性の原則と、銀行は書類を取り扱うのであって書類の関係する物品や役務を取り扱うものではないという書類取引の原則を定めている。輸出者は物品を船積みして所定の船積書類を銀行に呈示すれば代金を回収でき、代金回収の危険が大きく軽減される。
1は誤り。独立抽象性の原則により、発行銀行は物品の品質不良や数量不足といった売買契約上の抗弁を援用して支払を拒むことはできない。
2は誤り。書類取引の原則により、銀行の審査は呈示された書類が信用状条件と文面上一致しているかどうかに限られ、現実の物品を検査する義務はない。逆にいえば、書類が信用状条件と厳格に一致していなければ支払は受けられない(厳格一致の原則)。
4は誤り。信用状統一規則のもとでは、信用状は取消不能である旨の表示がなくても取消不能なものとして扱われ、発行銀行が一方的に取り消すことはできない。発行銀行の信用力に不安がある場合には、他の銀行に確認を加えてもらう確認信用状が用いられる。
2級では、独立抽象性と書類取引という2つの原則から、当事者にどのような帰結が生じるかまで問われる。