【問187】ビジネス実務法務検定2級 練習問題|解雇権濫用法理と解雇予告
企業と従業員・地域社会・国際法務 問7/20難易度B(標準)
問題文
X社は、勤務成績が芳しくない従業員Aを、予告をせず解雇予告手当も支払わないまま即時に解雇した。この解雇をめぐる法律関係に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.AがX社に解雇予告手当の支払を請求した場合、X社がこれに応じれば解雇の合理的理由の有無が問われることはない。
- 2.労働基準法の解雇予告の規定に違反した解雇は、それだけで当然に無効となり、事後に予告手当を支払っても効力を生じることはない。
- 3.Aの勤務成績が不良であれば、労働基準監督署長の認定を受けなくても解雇の予告は不要である。
- 4.解雇に客観的に合理的な理由がなく社会通念上相当と認められない場合、その解雇は権利の濫用として無効となる。
解説
正解は4。労働契約法16条は、解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして無効とすると定める(解雇権濫用法理)。勤務成績不良を理由とする解雇であっても、不良の程度が著しいこと、指導や改善の機会が与えられたこと、配置転換など解雇回避の措置がとられたことなどが求められ、これらを欠けば解雇は無効となる。
1は誤り。労働基準法20条の解雇予告手当は解雇の手続的な要件にすぎず、これを支払っても、労働契約法16条による実体的な有効性の判断を免れることはできない。手続を踏んでも理由がなければ解雇は無効である。
2は誤り。判例は、予告も予告手当の支払もない解雇について、使用者が即時解雇に固執する趣旨でない限り、通知後30日を経過するか予告手当を支払った時点で解雇の効力が生じるとしている。予告義務違反が直ちに解雇の私法上の無効を導くわけではない。
3は誤り。労働者の責に帰すべき事由を理由に解雇予告を不要とするには、行政官庁である労働基準監督署長の除外認定を受ける必要がある。勤務成績不良は通常この事由に当たらない。
解雇予告義務違反には6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が定められている。2級では、労働基準法による手続規制と労働契約法による実体規制を区別して理解しているかが問われる。