【問182】ビジネス実務法務検定2級 練習問題|就業規則の不利益変更と合理性
企業と従業員・地域社会・国際法務 問2/20難易度B(標準)
問題文
Y社は業績の悪化に伴い就業規則を変更して従業員に支給していた住宅手当を廃止したが、従業員Cはこの変更に同意していない。この場合の法律関係に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.就業規則の変更に際しては、労働者の過半数を代表する者の同意を得ることが効力発生の要件とされている。
- 2.変更後の就業規則をCに周知していない場合でも、変更内容が合理的であればCの労働条件は変更後の内容による。
- 3.Y社は、Cが個別に同意しない限り、就業規則の変更によってCの労働条件を不利益に変更することは一切できない。
- 4.変更後の就業規則が周知され、かつ変更が合理的と認められれば、Cの労働条件は変更後の内容による。
解説
正解は4。労働契約法10条は、使用者が就業規則の変更により労働条件を不利益に変更する場合、変更後の就業規則を労働者に周知させること、および変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の事情に照らして合理的であることの双方を満たすときは、変更後の就業規則の定めが労働契約の内容となると定める。周知と合理性は並列の要件である。
1は誤り。労働基準法90条が使用者に求めるのは、過半数で組織する労働組合または過半数代表者からの意見の聴取であって、同意を得ることは効力要件ではない。意見書を添えて労働基準監督署長に届け出れば足りる。
2は誤り。周知は労働契約法10条が明文で求める要件であり、変更内容に合理性があっても周知を欠けば変更の効力は生じない。
3は誤り。労働契約法9条は個別の合意によらない不利益変更を原則として禁じるが、同条は10条の場合を除外しており、周知と合理性を備えた変更は個別同意がなくても効力を生じる。
住宅手当の廃止は賃金という重要な労働条件の不利益変更であるから、判例上、高度の必要性に基づいた合理性が求められ、代償措置や経過措置の有無も考慮される。3級が就業規則の作成義務や記載事項を問うのに対し、2級では不利益変更の合理性判断の要素と個別同意との関係が問われる。