【問181】ビジネス実務法務検定2級 練習問題|労働条件の明示義務
企業と従業員・地域社会・国際法務 問1/20難易度B(標準)
問題文
労働契約の締結に際して使用者が負う労働条件の明示義務に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.明示された労働条件が事実と相違していても、労働者は民法の原則に従い相当の予告期間を置かなければ労働契約を解除することができない。
- 2.明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は労働契約を即時に解除することができる。
- 3.賃金の決定および支払の方法に関する事項については、書面の交付による明示までは義務づけられていない。
- 4.労働条件の明示義務は期間の定めのない労働契約について及ぶものであり、有期労働契約には及ばない。
解説
正解は2。労働基準法15条1項は、使用者が労働契約の締結に際し労働者に対して賃金・労働時間その他の労働条件を明示しなければならないと定め、同条2項は、明示された労働条件が事実と相違する場合には労働者が労働契約を即時に解除することができるとしている。民法の債務不履行解除のような催告や予告期間は不要であり、労働者は直ちに契約から離脱できる。
1は誤り。労働基準法が即時解除を認めている以上、相当の予告期間を置く必要はない。2の即時解除権は、明示義務違反に対する労働者側の私法上の救済である。
3は誤り。賃金の決定・計算・支払の方法、賃金の締切りおよび支払の時期は、労働基準法施行規則により書面の交付(労働者が希望した場合は電子メール等でも可)による明示が義務づけられる事項である。これに対し昇給に関する事項は書面明示の対象外とされている。
4は誤り。明示義務は契約期間の定めの有無を問わず及び、むしろ有期労働契約では契約期間や更新の有無・更新の判断基準の明示が求められ、就業場所および従事すべき業務の変更の範囲も明示事項とされている。
なお、即時解除をした労働者が就業のため住居を変更していた場合、解除の日から14日以内に帰郷するときは使用者が必要な旅費を負担しなければならない(同条3項)。3級が明示事項の列挙を問うのに対し、2級では明示義務違反の効果である即時解除権や帰郷旅費の負担まで問われる。