【問106】ビジネス実務法務検定2級 練習問題|会社関係者によるインサイダー取引
金融・証券業等に関する法規制 問6/20難易度B(標準)
問題文
上場会社であるA社の経理部員甲は、職務上、A社が業績予想を大幅に下方修正する決定をした事実を公表前に知り、保有するA社株式を売却した。また、A社と業務提携契約の締結交渉を行っていたB社の担当者乙も、その交渉に関しこの事実を公表前に知り、A社株式を売却した。甲および乙の責任に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.甲は会社関係者に当たるが、乙はA社の役員でも従業員でもないから会社関係者には当たらず、インサイダー取引規制の適用を受けない。
- 2.会社関係者に当たるのは役員および主要株主に限られるため、使用人にすぎない甲は規制の対象とならない。
- 3.規制が対象とするのは株式の買付けであり、株式を売却する行為によって規制に違反することはない。
- 4.甲は職務に関し重要事実を知った会社関係者であり、乙も契約の締結交渉をしている者として会社関係者に当たる。
解説
正解は4。金融商品取引法は、上場会社等の役員・代理人・使用人その他の従業者のほか、帳簿閲覧権を有する株主、法令に基づく権限を有する者、そして当該会社と契約を締結している者および締結の交渉をしている者を会社関係者とし、これらの者が職務等に関して重要事実を知った場合の公表前の売買を禁じている。甲は職務に関し重要事実を知った使用人であり、乙は締結交渉中の契約に関して重要事実を知った者であるから、いずれも規制に違反する。1は誤り。契約の締結交渉をしている者も会社関係者である。2は誤り。会社関係者は役員に限られず、使用人その他の従業者も含まれる。3は誤り。規制は売付けにも及び、損失を回避するための売却も違反となる。なお、会社関係者でなくなった後1年以内の者も規制を受ける。2級では、条文上の類型に事例をあてはめて適用の有無を判断する力が問われる。