賃貸不動産経営管理士は意味ない?業務管理者の必置義務と合格率29.5%
「賃貸不動産経営管理士なんて意味ない」という声は、宅地建物取引士(宅建士)と比較されるときによく出てきます。宅建士を持っていれば5問免除が受けられるほど出題範囲が重なるうえ、「結局、業務管理者は宅建士でもなれるなら、わざわざ賃貸不動産経営管理士を取る必要はないのでは」という指摘は的を射た部分があります。この記事では、その指摘を認めたうえで、賃貸不動産経営管理士でなければ得られない価値を整理します。
「賃貸不動産経営管理士は意味ない」と言われる理由
業務管理者には宅建士+講習修了でもなれる
賃貸住宅管理業法上、業務管理者になるには「賃貸不動産経営管理士として登録されていること」または「宅地建物取引士として登録され、かつ国土交通大臣が指定する講習を修了していること」のいずれかを満たせばよいとされています。つまり、宅建士を持っていれば、賃貸不動産経営管理士を別途取らなくても業務管理者にはなれるため、「両方取る必要はない」という主張には根拠があります。
転職市場での知名度が宅建士ほど高くない
宅建士は不動産業界で広く知られた資格ですが、賃貸不動産経営管理士は国家資格として位置づけられたのが比較的最近(後述)であるため、求人票で明確に評価されるケースは宅建士ほど多くありません。
国家資格化の経緯と業務管理者の必置義務
ただし、「意味ない」という評価だけでは説明できない事実があります。賃貸不動産経営管理士は、2020年6月12日に成立、同年6月19日公布、2021年6月15日施行の「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」により、法体系に基づく国家資格として位置づけられました。
この法律で最も重要なのが、業務管理者の必置義務です。
- 管理戸数200戸以上の賃貸住宅を管理する業者は、国土交通大臣の登録を受ける義務がある
- 登録を受けた管理業者は、営業所または事務所ごとに1人以上の業務管理者を配置しなければならない
- 業務管理者は名義貸しが禁止されており、原則として複数事務所の兼務もできない
つまり、一定規模以上の賃貸住宅管理業を営むには、業務管理者になれる人材(=賃貸不動産経営管理士、または宅建士+指定講習修了者)を事務所の数だけ確保する必要があります。これは「持っていても持っていなくても同じ」ではなく、組織として持たせておかなければ事業自体が回らないという必置資格特有の重みです。
実務で評価される場面
管理会社での必須人材化
管理戸数200戸以上の管理会社にとって、業務管理者になれる人材の確保は登録要件そのものです。宅建士を業務管理者へ十分な人数割り当てられない会社では、賃貸不動産経営管理士の保有者が直接的に必要とされます。特に賃貸管理専業の会社では、宅建士よりも賃貸不動産経営管理士としての専門性のほうが実務に直結します。
オーナー・入居者への説明力
管理受託契約の締結にあたって重要事項の説明を行う場面では、賃貸不動産経営管理士としての知識(管理受託契約・サブリース契約・原状回復・敷金精算など賃貸管理実務に特化した内容)が、オーナーへの説明の質に直結します。
宅建士とのダブルライセンスでの評価
宅建士だけでは賃貸管理の実務知識(入居者対応、原状回復のガイドライン、サブリース規制など)まではカバーしきれません。宅建士+賃貸不動産経営管理士の組み合わせは、賃貸仲介から管理まで一気通貫で対応できる人材として、賃貸管理会社では明確に評価されます。
2026年度試験の実態
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験日 | 2026年11月15日(日)13:00〜15:00 |
| 申込期間 | 2026年8月3日(月)〜郵送9月24日(木)・インターネット9月30日(水) |
| 合格発表 | 2026年12月24日(木) |
| 直近の合格率(令和7年度) | 29.5%(5問免除者を除く。5問免除者は36.6%) |
| 直近の合格点(令和7年度) | 38点/45点満点 |
本記事公開時点(2026年9月3日)では、2026年度試験の申込を受付中です。申込を検討している方は、郵送は9月24日、インターネットは9月30日という締切の違いに注意してください。
まとめ:組織で見れば「意味ない」では済まない資格
個人のキャリアだけで見れば、「宅建士があれば十分では」という指摘は成り立つ場面があります。しかし、賃貸住宅管理業を営む会社にとっては、業務管理者を事務所ごとに配置できるかどうかが登録要件そのものに関わるため、賃貸不動産経営管理士は組織運営上「意味がある・ない」を超えた必置資格です。自分が個人のキャリアとして評価しているのか、会社の体制として評価しているのかを分けて考えると、この資格の価値が見えやすくなります。
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