【問192】賃貸不動産経営管理士 練習問題|利益相反が疑われる場面での判断
賃貸管理の意義と管理士の役割 問7/15難易度B(標準)
問題文
貸主Aから賃貸住宅の管理を受託している管理業者Cと、その従業者である賃貸不動産経営管理士甲の利益相反への対応に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.甲は、Cの関連会社に修繕工事を発注しようとする場合、その利害関係をAに開示して判断を仰ぐべきであり、これを伏せたまま発注してはならない。
- 2.甲は、Aの利益と借主の利益とが対立する場面では、委託者であるAの利益のみを基準として判断すればよく、借主の言い分を考慮する必要はない。
- 3.甲は、自らが管理する物件をAから買い受けようとする場合であっても、売買は管理業務とは別個の取引であるから、自らの立場をAに説明する必要はない。
- 4.甲は、複数の貸主から競合する物件の管理を受託している場合において、特定の貸主から追加の報酬を受け取り、入居希望者をその貸主の物件へ優先的に誘導しても差し支えない。
解説
正解は1。管理業者が自社と資本関係や人的関係のある会社に工事を発注することは、委託者である貸主の利益と管理業者自身の利益とが衝突しうる典型的な利益相反の場面である。受託者は委託の本旨に従い善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負う(民法644条)から、利害関係の存在を貸主に開示し、必要に応じて相見積りを取るなどして、貸主が自ら判断できる状態を確保しなければならない。倫理憲章の公正と中立性の保持および信義誠実の義務も同じ結論を導く。2は誤り。管理業者は貸主から委託を受ける立場であるが、賃貸住宅管理業法は入居者の居住の安定の確保を目的に掲げており、借主の正当な言い分を無視してよいわけではない。3は誤り。自らが管理する物件を委託者から買い受ける行為は、物件の状況について情報の格差がある中での取引であり、自己の立場と取引の性質を説明したうえで進める必要がある。4は誤り。特定の貸主から利益を受けて入居者の誘導をゆがめることは、他の委託者に対する背信であり、公正な業務の遂行に反する。利益相反は禁止の一言ではなく、開示と承諾で処理するという発想を押さえたい。