【問108】賃貸不動産経営管理士 練習問題|明渡しの強制執行と自力救済
契約の終了・更新と原状回復 問18/20難易度B(標準)
問題文
賃料を長期にわたり滞納する賃借人Bに対し、賃貸人Aが建物の明渡しを実現しようとする場合の手段に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.Aは、Bが賃料を滞納している以上、玄関の鍵を交換してBの立入りを制限することができる。
- 2.Aは、Bの不在中に室内へ立ち入って家財を搬出し保管しておけば、後日Bに返還する限り違法とはならない。
- 3.Aは、契約書に自力救済を認める特約があれば、裁判手続によらずに明渡しを実現することができる。
- 4.Aは、確定判決や和解調書などの債務名義を得たうえで、裁判所に対し建物明渡しの強制執行を申し立てる必要がある。
解説
正解は4。私人が自らの実力によって権利を実現する自力救済は、法秩序の維持の観点から原則として禁止されている。賃貸人が明渡しを実現するには、明渡請求訴訟の確定判決や訴訟上の和解調書といった債務名義を得たうえで強制執行を申し立てなければならない。建物明渡しの強制執行では、執行官がまず明渡しの催告を行い、その後に定められた断行日に強制的な退去が実施される。1は誤り。鍵を交換して立入りを妨げる行為は賃借人の占有を侵害するもので違法であり、不法行為として損害賠償責任を負う。2は誤り。家財の搬出も占有および所有権の侵害にあたり、後で返還する意思があっても違法性は否定されない。3は誤り。自力救済を認める特約は公序良俗に反し無効と解される。滞納の事実があっても、法的手続を省略することはできない。