【問105】賃貸不動産経営管理士 練習問題|賃借人が明渡しを拒めるかの判断
契約の終了・更新と原状回復 問15/20難易度B(標準)
問題文
建物賃貸借が終了した後に賃借人が建物の明渡しを拒むことができるかどうかに関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.賃借人は、賃貸人から敷金の返還を受けていないことを理由として、建物の明渡しを拒むことができる。
- 2.敷金返還義務は賃貸物の返還を受けた時に生ずるから明渡しが先履行となり、賃借人は明渡しを拒めない。
- 3.賃借人は、賃貸人の同意を得て設置した造作の買取りを請求した場合には、その代金の支払があるまで建物を留置することができる。
- 4.賃借人が建物の保存に必要な費用を支出しその償還を受けていない場合であっても、賃借人が建物を留置することはできない。
解説
正解は2。民法622条の2第1項1号は、賃貸人は賃貸借が終了し、かつ賃貸物の返還を受けたときに敷金の残額を返還しなければならないと定める。すなわち明渡しが先履行であり、判例も、賃貸借終了に伴う賃借人の家屋明渡義務と賃貸人の敷金返還義務とは同時履行の関係に立たないとしている。1は誤り。同時履行の関係に立たない以上、敷金が返還されていないことを理由に明渡しを拒むことはできない。3は誤り。判例は、造作買取請求権を行使して生じた造作代金債権は建物に関して生じた債権とはいえないとして、これを理由に建物を留置することを認めていない。なお造作買取請求権を排除する特約も有効である。4は誤り。賃借人が支出した必要費の償還請求権は賃借物に関して生じた債権であるから、これを被担保債権として建物に留置権が成立しうる。何を理由に明渡しを拒めるのかを債権ごとに整理しておきたい。