【問97】賃貸不動産経営管理士 練習問題|信頼関係の破壊と解除の可否
契約の終了・更新と原状回復 問7/20難易度B(標準)
問題文
賃借人の債務不履行を理由とする建物賃貸借の解除と、判例上確立した信頼関係の法理に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.賃借人に債務不履行があれば、その程度がどのようなものであっても、賃貸人は直ちに契約を解除することができる。
- 2.債務不履行があっても、賃貸人と賃借人の信頼関係を破壊するに至らない特段の事情があるときは、解除は認められない。
- 3.この法理は賃料の不払いの場合にのみ適用され、用法遵守義務違反や無断転貸がされた場合には適用されない。
- 4.賃貸借契約が解除された場合、その効力は契約の成立時に遡るため、既に支払われた賃料は不当利得として返還されることになる。
解説
正解は2。賃貸借は当事者間の継続的な信頼関係を基礎とする契約であることから、賃借人に債務不履行があっても、それが賃貸人との信頼関係を破壊するに至る程度のものではないと認められる特段の事情があるときは、賃貸人は契約を解除することができないとするのが判例の確立した考え方である。1は誤り。軽微な不履行による解除は認められない。民法541条ただし書も、催告期間を経過した時の不履行が契約および取引上の社会通念に照らして軽微であるときは解除できないとする。3は誤り。この法理は無断譲渡・無断転貸(民法612条2項)や用法遵守義務違反の場合にも及び、背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは解除が制限される。4は誤り。賃貸借の解除は将来に向かってのみその効力を生ずる(民法620条)。解除の可否は不履行の程度と経緯の総合判断であることを押さえたい。