【問178】ビジネス実務法務検定2級 練習問題|経営判断の原則
株式会社の組織と運営 問18/20難易度B(標準)
問題文
K株式会社の取締役会が、専門家の意見を聴取し十分な調査を行ったうえで子会社株式の買取価格を決定したが、結果として会社に損失が生じた。経営判断の原則に照らして、最も適切なものはどれか。
- 1.会社に現実の損失が生じた以上、取締役は結果責任として会社に対する任務懈怠の責任を免れることはできない。
- 2.判断の前提となった事実の認識に不注意な誤りがなく、判断の過程および内容が著しく不合理でなければ責任を負わない。
- 3.経営判断の原則は取締役が法令に違反する行為をした場合にも同様に適用され、これによって責任を免れる余地がある。
- 4.専門家の助言を得て判断した場合には、判断の内容が著しく不合理であっても任務懈怠は否定される。
解説
正解は2。取締役の経営判断には不確実な状況での迅速な決断が求められ、結果責任を問われるとすれば萎縮して会社の利益を損なう。そこで判例は、経営判断の前提となった事実の認識に不注意な誤りがなく、その事実に基づく意思決定の過程および内容が経営者として著しく不合理なものでない限り、善管注意義務に違反しないとしている。これを経営判断の原則という。
1は誤り。損失の発生という結果のみから任務懈怠が導かれるわけではない。判断の時点における情報収集と検討の合理性が問われる。3は誤り。法令に違反する行為については裁量の余地がなく、経営判断の原則は適用されない。会社の利益になるという理由で法令違反を正当化することはできない。4は誤り。専門家の助言を得たことは判断過程の合理性を基礎づける一事情にすぎず、判断の内容が著しく不合理であればなお善管注意義務違反となりうる。
2級では、経営判断の原則が適用される場面と適用されない場面を区別し、あわせて取締役の内部統制システム構築義務や監視義務といった判断以外の局面での義務違反の類型まで押さえておきたい。