【問177】ビジネス実務法務検定2級 練習問題|役員等の第三者に対する責任
株式会社の組織と運営 問17/20難易度B(標準)
問題文
役員等が会社に対して負う責任および第三者に対して負う責任について、最も適切な記述はどれか。
- 1.取締役が第三者に対して損害賠償責任を負うのは、その職務を行うについて悪意または重大な過失があった場合である。
- 2.取締役の会社に対する任務懈怠責任は、株主総会の普通決議によってその全部を免除することができる。
- 3.取締役の会社に対する任務懈怠責任は、およそ過失の有無を問わずに生ずる無過失責任とされている。
- 4.取締役が第三者に対して責任を負うためには、第三者において取締役の自己に対する加害についての故意を立証することを要する。
解説
正解は1。会社法429条1項は、役員等がその職務を行うについて悪意または重大な過失があったときは、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負うと定める。会社の経営が取締役に委ねられ、その職務懈怠によって第三者が害されるおそれが大きいことから、法が特に認めた責任である。名目的取締役や登記簿上の取締役の責任が問題となる場面で実務上よく現れる。
2は誤り。取締役の会社に対する任務懈怠責任の全部を免除するには総株主の同意が必要である。株主総会の特別決議や定款の定めに基づく取締役会決議、責任限定契約による一部免除の制度はあるが、普通決議による全部免除は認められない。3は誤り。任務懈怠責任は原則として過失責任であり、任務を怠ったことについて帰責事由がないことを証明すれば免れる。ただし自己のためにした直接取引をした取締役の責任は無過失責任とされている。4は誤り。第三者が立証すべきは取締役の任務懈怠についての悪意または重大な過失であり、自己に対する加害の故意まで立証する必要はない。
2級では、会社に対する責任と第三者に対する責任の要件の違い、および責任の免除と限定の各制度を区別して理解しておきたい。