【問175】ビジネス実務法務検定2級 練習問題|表見代表取締役の責任
株式会社の組織と運営 問15/20難易度B(標準)
問題文
F株式会社は、代表権を有しない取締役Gに副社長の名称を付していた。GがF社を代表する者としてH社と取引をした場合について、最も適切なものはどれか。
- 1.Gは代表取締役ではないから当該取引の効力はF社に及ばず、H社はGに対して責任を追及できるにとどまる。
- 2.F社が責任を負うのは、H社がGに代表権のないことを知っていた場合に限られる。
- 3.表見代表取締役に関する規定は、会社が名称の使用を認めていない場合であっても当然に適用される。
- 4.F社は、Gに代表権のないことを知らなかったH社に対し、当該取引について責任を負う。
解説
正解は4。会社法354条は、代表取締役以外の取締役に社長、副社長その他株式会社を代表する権限を有するものと認められる名称を付した場合、当該取締役がした行為について会社は善意の第三者に対して責任を負うと定める。外観を作出した会社に帰責性がある以上、その外観を信頼した取引の相手方を保護する権利外観法理のあらわれである。したがってF社はGに代表権がないことを知らなかったH社に対し責任を負う。
1は誤り。表見代表取締役の規定により、会社自身が取引上の責任を負う。2は誤り。保護されるのは代表権のないことを知らなかった善意の第三者であり、悪意の第三者は保護されない。本肢は善意と悪意を取り違えている。なお判例上、重大な過失のある第三者は悪意と同視され保護されない。3は誤り。同条の適用には、会社が当該名称を付したという帰責性が必要である。取締役が会社の関与なく勝手に名称を用いた場合には、原則として同条は適用されない。
2級では、表見代表取締役のほか、代表取締役の権限に加えた内部的制限を善意の第三者に対抗できないこと、取締役会決議を欠く代表取締役の行為の効力といった対外的関係の処理まで問われる。