【問167】ビジネス実務法務検定2級 練習問題|組織再編と事業譲渡の相違点
株式会社の組織と運営 問7/20難易度B(標準)
問題文
合併その他の組織再編行為と事業譲渡との違いについて、最も適切な記述はどれか。
- 1.事業譲渡においては、譲渡会社が負っていた債務は譲渡契約の効力により当然に譲受会社へ移転する。
- 2.吸収合併では、消滅会社の契約上の地位を存続会社が承継するために契約の相手方から個別の同意を得る必要がある。
- 3.事業の全部を譲渡する場合であっても、譲渡会社において株主総会の決議を経ることは要求されていない。
- 4.吸収合併では債権者異議手続が必要であるのに対し、事業譲渡についてはこの手続は会社法上要求されていない。
解説
正解は4。吸収合併では消滅会社の権利義務が包括的に存続会社へ移転し、債務者が交替する結果となるため、会社法は債権者が異議を述べる機会を保障する債権者異議手続を要求する。これに対し事業譲渡は取引法上の契約であり、債務は当然には移転しないから、会社法上の債権者異議手続は要求されていない。この違いは、包括承継か特定承継かという性質の違いから導かれる。
1は誤り。事業譲渡では債務は当然には移転せず、譲受会社が債務を引き受けるには免責的債務引受として債権者の承諾が必要である。契約上の地位の移転にも相手方の承諾を要する。2は誤り。吸収合併は包括承継であるから、契約の相手方の個別の同意なしに契約上の地位が存続会社に移転する。3は誤り。事業の全部の譲渡および事業の重要な一部の譲渡には、譲渡会社の株主総会の特別決議が必要である(会社法467条1項、309条2項)。
2級では、合併、会社分割、株式交換、株式移転、株式交付という組織再編行為と事業譲渡について、承継の方法、必要な手続、反対株主の株式買取請求権の有無を表で整理して比較できるようにしておきたい。