【問166】ビジネス実務法務検定2級 練習問題|募集株式の有利発行
株式会社の組織と運営 問6/20難易度C(難しい)
問題文
公開会社であるB株式会社が、特定の取引先に対して時価を大幅に下回る払込金額で募集株式を発行しようとしている。この場合について、最も適切なものはどれか。
- 1.特に有利な払込金額で募集株式を発行するには、公開会社であっても株主総会の特別決議を経なければならない。
- 2.公開会社では募集事項の決定は常に取締役会の決議によることができ、払込金額の水準は決議機関に影響しない。
- 3.有利発行にあたる場合であっても、株主が募集株式の発行をやめることを請求する制度は設けられていない。
- 4.公開会社の発行可能株式総数は、定款を変更しても発行済株式の総数の2倍を超えることができない。
解説
正解は1。公開会社では、資金調達の機動性を確保するため募集事項の決定は原則として取締役会の決議によることができる。もっとも、払込金額が募集株式の引受人にとって特に有利な金額である場合は、既存株主の持分価値が希薄化するため、株主総会の特別決議が必要であり、取締役はその払込金額でその者を募集することを必要とする理由を説明しなければならない(会社法199条3項、201条1項)。時価を大幅に下回る払込金額はこの有利発行にあたりうる。
2は誤り。前述のとおり有利発行の場合は取締役会の決議のみでは足りない。3は誤り。募集株式の発行が法令もしくは定款に違反し、または著しく不公正な方法により行われ、株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株主は会社に対して発行の差止めを請求できる(会社法210条)。4は誤り。公開会社の発行可能株式総数は発行済株式の総数の4倍を超えることができないとされており、2倍ではない。
2級では、公開会社と公開会社でない会社とで募集事項の決定機関がどう異なるか、また差止請求と新株発行無効の訴えという救済手段の使い分けまで問われる。