【問164】ビジネス実務法務検定2級 練習問題|自己株式の取得と財源規制
株式会社の組織と運営 問4/20難易度C(難しい)
問題文
株主との合意による自己株式の有償取得とその財源規制について、最も適切な記述はどれか。
- 1.会社が取得した自己株式は取得の日から6か月以内に処分または消却しなければならず、これを超えて保有することはできない。
- 2.特定の株主から有償取得する場合も株主総会の普通決議で取得枠を定めれば足り、他の株主に売主追加請求は認められない。
- 3.株主に対して交付する金銭等の総額は、取得の効力が生ずる日における分配可能額を超えてはならない。
- 4.会社が保有する自己株式についても、会社は株主総会において議決権を行使し、剰余金の配当を受けることができる。
解説
正解は3。自己株式の有償取得は実質的に株主への出資の払戻しにあたり、無制限に認めると会社債権者を害する。そこで会社法461条は、株主との合意による自己株式の取得について、株主に交付する金銭等の帳簿価額の総額が効力発生日における分配可能額を超えてはならないとする財源規制を課している。これに違反した場合、金銭等の交付を受けた株主および業務執行者は会社に対し連帯して支払義務を負う。
1は誤り。かつての商法と異なり、会社法には自己株式の保有期間の制限がなく、取得した自己株式をいわゆる金庫株として保有し続けることができる。2は誤り。特定の株主からの取得は他の株主に売却の機会を与えない点で不公平を生じうるため、株主総会の特別決議が必要であり、他の株主は自己をも売主に加えるよう請求できる(会社法160条)。4は誤り。自己株式については議決権が認められず、剰余金の配当を受けることもできない。取締役が自己株式の議決権を用いて経営権を維持することを防ぐ趣旨である。
2級では、取得の決定機関の区別と財源規制という2つの制約を、違反した場合の取締役等の責任まで結びつけて理解しておきたい。