【問163】ビジネス実務法務検定2級 練習問題|譲渡制限株式の譲渡承認手続
株式会社の組織と運営 問3/20難易度B(標準)
問題文
取締役会設置会社であるA株式会社は、その発行する全部の株式について譲渡制限を定めている。株主甲がA社の承認を得ないまま保有株式を乙に譲渡した場合について、最も適切なものはどれか。
- 1.承認を得ずにされた譲渡であっても甲乙間では有効であり、乙がA社に対して株主であることを主張できないにとどまる。
- 2.承認を得ない譲渡は当事者間においても無効であり、乙は甲に対して支払った代金の返還を請求できるにすぎない。
- 3.A社が承認しない旨を決定したときは、A社自身が当該株式を買い取ることはできず、指定買取人の指定によるほかない。
- 4.A社が譲渡承認の請求を受けた日から2週間以内に何らの通知もしなかったときは、当該譲渡を承認しなかったものとみなされる。
解説
正解は1。譲渡制限株式の譲渡制限は、会社にとって好ましくない者が株主となることを防ぐ制度であり、会社との関係で効力を制限すれば目的を達することができる。判例も、承認を欠く譲渡は会社に対する関係では効力を生じないが、譲渡当事者間では有効であるとしている。したがって乙は甲に対して株式の引渡し等を求めうるが、A社に対して株主としての権利を主張することはできない。
2は誤り。前述のとおり当事者間では有効である。3は誤り。会社が譲渡を承認しない場合、会社自身が当該株式を買い取るか、指定買取人を指定するかを選択できる(会社法140条)。会社が買い取る場合は株主総会の特別決議が必要であり、譲渡等承認請求をした株主は当該決議で議決権を行使できない。4は誤り。会社が請求の日から2週間以内に承認するか否かの決定の内容を通知しなかったときは、譲渡を承認したものとみなされる(会社法145条1号)。承認する側にみなし効果が働く点に注意したい。
2級では、承認機関が取締役会設置会社では取締役会、それ以外では株主総会である点、および承認しない場合の買取請求の流れという当事者間の帰結まで問われる。