【問157】ビジネス実務法務検定2級 練習問題|確定判決の既判力
倒産処理と紛争の予防・解決 問17/20難易度C(難しい)
問題文
AのBに対する売買代金請求訴訟においてAの請求を認容する判決が確定した。この確定判決の既判力に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.Bは後の訴訟において、事実審の口頭弁論の終結前に生じていた売買契約の無効事由を主張して、その判決の判断を争うことができない。
- 2.既判力は判決の主文だけでなく判決の理由中でされたすべての判断にも及ぶため、Bは理由中の判断についても後の訴訟で争うことができない。
- 3.既判力は口頭弁論の終結後にBの地位を承継した者には及ばないため、その承継人は改めて代金債務の存否を争うことができる。
- 4.Bは、事実審の口頭弁論の終結後に代金を弁済したという事実を主張して、その判決の執行力を争うことはできない。
解説
正解は1。既判力の標準時(基準時)は事実審の口頭弁論終結時であり、その時点までに存在していた事由は、当事者が実際に主張したかどうかを問わず、後の訴訟で主張することが遮断される。したがってBは、基準時前に存在した契約の無効事由を後の訴訟で持ち出すことができない。2は誤り。確定判決は主文に包含するものに限り既判力を有し、判決理由中の判断には原則として既判力が生じない(民事訴訟法114条1項)。ただし相殺の抗弁については、相殺をもって対抗した額について既判力が生じる(同条2項)。3は誤り。既判力は当事者のほか、口頭弁論終結後の承継人や請求の目的物の所持者にも及ぶ。4は誤り。基準時の後に生じた弁済などの事由は遮断されず、請求異議の訴えによって執行を争うことができる。2級では、主文に限られる客観的範囲、当事者と承継人等に及ぶ主観的範囲、基準時を境とする時的限界という三つの切り口で既判力を整理しておきたい。