【問151】ビジネス実務法務検定2級 練習問題|私的整理と事業再生ADR
倒産処理と紛争の予防・解決 問11/20難易度B(標準)
問題文
私的整理および事業再生ADRの特徴に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.私的整理は裁判所が関与しない手続であるため、法的整理と比べて手続の内容や交渉の経過が広く公開されることになり、債務者の信用が毀損されやすいという難点がある。
- 2.事業再生ADRは、法務大臣の認証および経済産業大臣の認定を受けた事業者が手続を実施するものであり、事業再生計画の成立には対象債権者全員の同意を要する。
- 3.事業再生ADRの手続が開始されると、対象債権者は債務者に対する権利の行使を法律上当然に禁止され、これに反してされた弁済の受領は無効となる。
- 4.私的整理においては、取引先が有する商取引債権を対象から除外することができず、必ずすべての債権者を平等に取り扱わなければならない。
解説
正解は2。事業再生ADRは、産業競争力強化法に基づく手続であり、裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律による法務大臣の認証と、経済産業大臣の認定の双方を受けた特定認証紛争解決事業者が手続を実施する私的整理の一類型である。あくまで私的整理であるから多数決によって反対債権者を拘束することはできず、事業再生計画の成立には対象債権者全員の同意が必要となる。1は誤り。私的整理は手続が非公開のまま進むため、信用の毀損や事業価値の劣化を避けやすい点にこそ利点がある。3は誤り。事業再生ADRでは一時停止の通知によって債権者に権利行使の自制を求めるにとどまり、法律上当然に権利行使が禁止されるわけではない。4は誤り。私的整理では対象債権者を金融機関に限定し、取引先の商取引債権は対象外として通常どおり弁済することができるため、事業価値を維持しやすい。2級では、私的整理の利点と、全員の同意を要するという限界を法的整理と対比して整理しておきたい。