【問146】ビジネス実務法務検定2級 練習問題|否認権の行使
倒産処理と紛争の予防・解決 問6/20難易度C(難しい)
問題文
A社は支払不能に陥った後に、既存の借入金債務について債権者Bに自社所有の機械を代物弁済し、その後A社について破産手続開始の決定がされた。否認権に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.A社が支払不能となった後にされた既存の債務についての代物弁済は、Bがその当時A社の支払不能または支払の停止の事実を知っていた場合には、偏頗行為否認の対象となる。
- 2.否認権は個々の破産債権者が自己の名において裁判所に対して行使するものであり、破産管財人が破産財団のためにこれを行使することは認められていない。
- 3.代物弁済は既存の債務を消滅させる正当な行為であるから、それがされた時期や債権者の認識のいかんを問わず、およそ否認の対象とはならない。
- 4.否認権の行使は必ず訴えの方法によらなければならず、否認の請求や訴訟における抗弁の方法によってこれを行使することは認められていない。
解説
正解は1。支払不能になった後または破産手続開始の申立てがあった後にされた、既存の債務についての担保の供与または債務の消滅に関する行為は、債権者がその行為の当時に支払不能または支払の停止の事実を知っていたときなどに否認することができる(偏頗行為否認、破産法162条1項)。特定の債権者だけが抜け駆け的に満足を受けることを防ぎ、債権者間の平等を確保する趣旨である。2は誤り。否認権を行使するのは破産管財人である(破産法173条1項)。3は誤り。代物弁済も債務の消滅に関する行為として否認の対象となりうる。4は誤り。否認権は訴え、否認の請求または抗弁のいずれの方法によっても行使することができる。2級では、財産を減少させる行為を対象とする詐害行為否認と、債権者間の平等を害する行為を対象とする偏頗行為否認との区別が問われる。無償行為やこれと同視すべき有償行為については、受益者の善意悪意を問わず否認できる点もあわせて押さえたい。