【問138】ビジネス実務法務検定2級 練習問題|詐害行為取消権の要件
債権の担保と回収 問18/20難易度C(難しい)
問題文
債務超過に陥ったA社が、その唯一の見るべき資産である甲不動産をB社に贈与した。A社の債権者Cによる詐害行為取消権の行使について、最も適切なものはどれか。
- 1.Cは必ず訴えを提起して取消しを請求しなければならず、裁判外でBに取消しの意思表示をしても効力を生じない。
- 2.詐害行為取消しの訴えは、詐害行為をした債務者Aを被告として提起しなければならず、受益者Bを被告とすることはできない。
- 3.Bが贈与を受けた当時にCを害することを知らなかった場合であっても、Cはその贈与を取り消すことができる。
- 4.Cの債権が甲不動産の贈与よりも後に生じた原因に基づくものであっても、被保全債権とすることができる。
解説
正解は1。詐害行為取消権は、債権者が裁判所に請求して行使する権利であり(民法424条1項)、必ず訴えによらなければならない。裁判外でも行使できる債権者代位権と対照的な点であり、取引の安全に与える影響が大きいため裁判所の判断を要求している。
2は誤り。詐害行為取消請求に係る訴えの被告は受益者または転得者であり、債務者を被告とするのではない。もっとも債権者は訴えを提起したときは債務者に訴訟告知をしなければならない(民法424条の7)。3は誤り。受益者が行為の時において債権者を害すべき事実を知らなかったときは取消しは認められない(民法424条1項ただし書)。4は誤り。被保全債権は、詐害行為の前の原因に基づいて生じたものでなければならない(民法424条3項)。
2級では、行使方法、被告適格、受益者の主観という三つの要件を事例にあてはめて結論を導けるかが問われる。認容判決の効力が債務者およびそのすべての債権者に及ぶ点(民法425条)もあわせて押さえておきたい。