【問134】ビジネス実務法務検定2級 練習問題|相殺適状と差押債権者への対抗
債権の担保と回収 問14/20難易度C(難しい)
問題文
A社はB社に対して売掛金債権を有し、B社もA社に対して同額の貸金債権を有していたところ、B社の債権者CがB社のA社に対する債権を差し押さえた。相殺による回収について、最も適切なものはどれか。
- 1.Aが差押え前に取得していた債権であれば、その弁済期が差押え後に到来する場合でも相殺をCに対抗できる。
- 2.Aは差押えの後に第三者からBに対する債権を譲り受けた場合でも、これを自働債権とする相殺をCに対抗できる。
- 3.受働債権の弁済期が到来していない間は、Aが期限の利益を放棄しても相殺適状は生じず相殺できない。
- 4.相殺の意思表示には条件を付すことができ、相殺の効力は意思表示がされた時から将来に向かって生じる。
解説
正解は1。差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することはできないが、差押え前に取得した債権による相殺は差押債権者に対抗できる(民法511条1項)。自働債権の弁済期が差押え後に到来する場合でも相殺は可能であり、判例のいわゆる無制限説が明文化されている。
2は誤り。差押え後に他人の債権を取得した場合には、それが差押え前の原因に基づいて生じたものであっても相殺を差押債権者に対抗できない(民法511条2項ただし書)。3は誤り。相殺適状には自働債権の弁済期到来が必要であるが、受働債権については第三債務者が自ら期限の利益を放棄できるため、弁済期未到来でも相殺できる。4は誤り。相殺の意思表示には条件も期限も付すことができず、その効力は双方の債務が互いに相殺に適するようになった時にさかのぼって生じる(民法506条1項・2項)。
2級では、相殺が担保的機能をもつことを踏まえ、差押えと相殺の優劣を条文にあてはめて処理できるかが問われる。