【問131】ビジネス実務法務検定2級 練習問題|集合動産譲渡担保の実行
債権の担保と回収 問11/20難易度B(標準)
問題文
A社は、B社に対する継続的な売掛金債権を担保するため、B社の倉庫内にある在庫商品全部について譲渡担保の設定を受けた。この事例における譲渡担保について、最も適切なものはどれか。
- 1.集合物としての在庫商品は個々の動産を特定することができないため、これを一括して譲渡担保の目的とすることはできない。
- 2.動産譲渡担保の対抗要件を備えるには現実の引渡しが必要であり、占有改定による引渡しでは足りない。
- 3.B社は弁済期を経過した後は、A社が清算金を支払う前であっても目的物を受け戻すことができない。
- 4.A社が担保権を実行する場合、目的物の価額が被担保債権額を超えるときは、その差額を清算する義務を負う。
解説
正解は4。譲渡担保は判例上認められた非典型担保であり、目的物の所有権が形式的に債権者へ移転するものの、その目的はあくまで債権の担保にある。そのため債権者が担保権を実行して目的物の所有権を確定的に取得し、または処分する場合には、目的物の価額が被担保債権額を上回る部分を清算金として設定者に支払う義務を負うと解されている。
1は誤り。構成部分の変動する集合動産であっても、種類、所在場所、量的範囲などによって目的物の範囲が特定されていれば、一個の集合物として譲渡担保の目的とすることができる。2は誤り。動産譲渡担保の対抗要件は引渡しであり、占有改定でも足りる。そのため設定者は目的物を占有して事業に使用しながら担保に供することができ、法人であれば動産譲渡登記による対抗要件具備も可能である。3は誤り。設定者は、債権者が清算金を支払うか目的物を第三者に処分するまでは受戻権を行使できると解されている。
2級では、非典型担保について清算義務と受戻権という設定者保護の枠組みを理解し、実行の場面での当事者の帰結を説明できることが求められる。