【問38】ビジネス実務法務検定2級 練習問題|職務著作と著作者人格権
企業財産の管理と法務 問18/20難易度B(標準)
問題文
Q社の従業員Rが業務として作成した資料の権利をめぐる事例において、職務著作と著作者人格権に関する記述として最も適切なものはどれか。
- 1.Q社の発意に基づきRが職務上作成し、Q社の著作名義の下で公表される著作物は、別段の定めがない限りQ社が著作者となる。
- 2.職務著作が成立する場合であっても、著作者人格権は実際に創作をした従業員Rに帰属する。
- 3.著作者人格権は財産的な価値を有するものであるから、契約によって第三者に譲渡することができる。
- 4.プログラムの著作物についても法人の著作名義で公表されることが職務著作の成立要件とされているため、社内利用にとどまるプログラムは職務著作とならない。
解説
正解は1。著作権法15条1項は、法人その他使用者の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とすると定める。この要件を満たすと、法人が権利を承継するのではなく、最初から著作者となる点が重要である。
1は正しい。2は誤り。職務著作が成立すると法人等が著作者となる結果、著作権だけでなく、公表権・氏名表示権・同一性保持権といった著作者人格権も法人等に帰属する。3は誤り。著作者人格権は著作者の一身に専属し、譲渡することができない(著作権法59条)。財産権である著作権が譲渡可能であるのと対照的である。4は誤り。プログラムの著作物については、法人等の著作名義で公表されることは要件とされていない(著作権法15条2項)。社内システムのように公表されないプログラムでも職務著作が成立しうる。
2級では、権利が原始的に法人に帰属する職務著作と、原則として発明者に帰属したうえで定めがあれば使用者に帰属する職務発明との違いが問われやすい。