【問32】ビジネス実務法務検定2級 練習問題|職務発明と相当の利益
企業財産の管理と法務 問12/20難易度B(標準)
問題文
X社の研究員Yが職務として行った発明をめぐる事例において、職務発明の取扱いに関する記述として最も適切なものはどれか。
- 1.X社は、勤務規則等に何らの定めがない場合であっても、Yがした職務発明について特許を受ける権利を当然に原始的に取得する。
- 2.Yの職務発明についてX社が特許を受ける権利を取得した場合、Yが受ける相当の利益は必ず金銭でなければならない。
- 3.X社が特許を受ける権利を取得しない場合であっても、X社はYの職務発明について通常実施権を有する。
- 4.X社は、Yが職務とまったく無関係に個人的に行った発明についても、あらかじめ勤務規則で特許を受ける権利を取得する旨を定めておけば、これを取得することができる。
解説
正解は3。特許法35条1項は、従業者等がした職務発明について、使用者等はその特許権について通常実施権を有すると定める。これは法律上当然に発生する無償の法定通常実施権であり、契約や勤務規則の定めがなくても、また使用者が特許を受ける権利を承継していなくても、使用者は自らその発明を実施することができる。発明が生まれる基盤を提供した使用者の貢献に報いる趣旨である。
1は誤り。特許を受ける権利が発生した時から使用者等に帰属するのは、契約、勤務規則その他の定めにおいてあらかじめ使用者等に取得させることを定めた場合である(特許法35条3項)。そのような定めがなければ、権利は発明者である従業者に原始的に帰属する。2は誤り。従業者が受ける権利は相当の金銭その他の経済上の利益であり、金銭に限られず、留学の機会の付与や地位の処遇なども含まれうる。3は正しい。4は誤り。職務発明に当たらないいわゆる自由発明について、あらかじめ使用者に特許を受ける権利を取得させる旨を定めた条項は無効である(特許法35条2項)。
2級では、職務発明の定義(使用者の業務範囲に属し、かつ従業者の現在または過去の職務に属すること)と、相当の利益を定める手続が不合理でないことの判断枠組みが問われる。