【問19】ビジネス実務法務検定2級 練習問題|受領権者としての外観を有する者への弁済
企業取引・契約の法務 問19/20難易度B(標準)
問題文
A社はB社に対して売買代金債務を負っていたところ、B社の元経理担当者Cが、B社名義の受取証書を示して支払を求めたため、A社はCを正当な受領権者と信じて代金を支払った。この弁済の効力に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.Cが正当な受領権者でない以上、A社の善意悪意を問わず弁済は無効であり、A社は改めてB社に支払う義務を負う。
- 2.A社が現実にCへ支払った以上、A社に過失があったときでもB社との関係で弁済は有効となる。
- 3.A社以外の第三者がこの代金債務を弁済することは、弁済をするについて正当な利益を有する場合に限り認められる。
- 4.A社が善意であり、かつ過失がなかったときに限り、Cに対する弁済は有効なものと扱われる。
解説
正解は4。受領権者以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するものに対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ過失がなかったときに限り、その効力を有する(民法478条)。改正前に別に置かれていた受取証書の持参人に対する弁済の規定は、この規律に統合された。1は誤り。前記のとおり弁済者が善意無過失であれば弁済は有効となり、A社が二重に支払う必要はない。この場合、B社はCに対して不当利得の返還等を請求することになる。2は誤り。弁済者に過失があるときは保護されず弁済は効力を生じないため、A社はB社に対して改めて弁済しなければならない。元担当者であることを容易に確認できたのに怠った場合などは過失が認められやすい。3は誤り。債務の弁済は第三者もすることができるのが原則である(民法474条1項)。ただし、弁済をするについて正当な利益を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができず、当事者が第三者の弁済を禁止し、もしくは制限する意思表示をしたとき、または債務の性質が第三者の弁済を許さないときも、第三者による弁済はできない。