【問20】ビジネス実務法務検定2級 練習問題|相殺の要件と相殺適状
企業取引・契約の法務 問20/20難易度B(標準)
問題文
民法上の相殺が認められるための要件に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.相殺の意思表示には条件を付すことができ、その効力は意思表示が相手方に到達した時から生ずる。
- 2.自働債権が時効によって消滅した場合は、消滅以前に相殺適状にあったときでも相殺をすることができない。
- 3.互いに同種の目的を有する債務を負担し、自働債権が弁済期にあることが相殺の基本的な要件である。
- 4.人の生命または身体の侵害による損害賠償の債務を負う者は、その債務を受働債権として相殺できる。
解説
正解は3。二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者はその対当額について相殺によってその債務を免れることができる(民法505条1項)。相殺をする側の債権である自働債権は弁済期に達している必要があるが、相殺される側の受働債権については、相殺者が自ら期限の利益を放棄できるため、弁済期が到来していなくても相殺が可能である。1は誤り。相殺は相手方に対する意思表示によってするが、その意思表示には条件または期限を付すことができず、効力は双方の債務が互いに相殺に適するようになった時にさかのぼって生ずる(民法506条)。2は誤り。時効によって消滅した債権であっても、その消滅以前に相殺適状にあったときは、その債権者は相殺をすることができる(民法508条)。4は誤り。悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務および人の生命または身体の侵害による損害賠償の債務については、その債務者は相殺をもって債権者に対抗することができない(民法509条)。被害者に現実の給付を受けさせる趣旨である。3級が相殺の意味を問うのに対し、2級では相殺適状の各要件と例外の可否まで問われる。