【問16】ビジネス実務法務検定2級 練習問題|適法な転貸と賃貸人の権利
企業取引・契約の法務 問16/20難易度C(難しい)
問題文
AはBに建物を賃貸し、Bから敷金の差入れを受けていたところ、BはAの承諾を得てこの建物をCに転貸した。この賃貸借および転貸借に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.Aは、Bから請求があれば、賃貸借の終了前であっても敷金を未払賃料に充当しなければならない。
- 2.適法な転貸がされた以上、AはBに対して賃料の支払を請求することができなくなる。
- 3.Cは、Bに賃料を前払いしていれば、その前払をもってAからの直接の支払請求を拒むことができる。
- 4.Cは、Bが負う賃料債務の範囲を限度として、Aに対して直接に賃料を支払う義務を負う。
解説
正解は4。賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う(民法613条1項)。したがってCは、Bの賃料債務の範囲でAに直接支払う義務を負う。1は誤り。賃貸人は敷金を未払賃料に充当することができるが、賃借人の側から充当を請求することはできない(民法622条の2第2項)。敷金の返還債務は、賃貸借が終了し、かつ賃貸物の返還を受けたときに、未払債務を控除した残額について生ずる。2は誤り。転貸がされても、賃貸人が賃借人に対して権利を行使することは妨げられない(民法613条2項)。3は誤り。転借人は、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない(民法613条1項後段)。なお、賃貸人と賃借人が賃貸借を合意により解除しても、原則としてこれを転借人に対抗することはできない(同条3項)。無断転貸の場合は解除の対象となるが、判例は背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは解除を認めない。原状回復義務については、通常の使用収益によって生じた損耗や経年変化は賃借人の負担とならない点も確認したい。