【問13】ビジネス実務法務検定2級 練習問題|手付による解除の可否
企業取引・契約の法務 問13/20難易度B(標準)
問題文
A社は、B社との間で土地の売買契約を締結し、買主であるB社から解約手付の交付を受けた。この手付に基づく解除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.A社が手付による解除をするには、手付の倍額を償還する意思を口頭で告げれば足りる。
- 2.A社が履行に着手した後は、B社は手付を放棄して契約を解除することができない。
- 3.B社が自ら履行に着手していれば、A社が履行に着手していなくてもB社は手付による解除をできない。
- 4.手付による解除がされた場合、相手方は債務不履行に基づく損害賠償を請求することができる。
解説
正解は2。買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して契約の解除をすることができるが、その相手方が契約の履行に着手した後は解除をすることができない(民法557条1項)。したがって、売主A社が履行に着手した後は、買主B社は手付を放棄しても解除できない。1は誤り。売主が手付解除をするには倍額を現実に提供することが必要であり、口頭で告げるだけでは足りない。この点は改正で条文上明確にされた。3は誤り。解除が制限されるのは相手方が履行に着手した後であるから、自らが履行に着手していても、相手方が履行に着手していなければ手付による解除をすることができる。判例の立場が条文に取り込まれた部分である。4は誤り。手付による解除には損害賠償に関する民法545条4項が適用されないため、相手方は債務不履行を理由とする損害賠償を請求することができない(民法557条2項)。手付の性質が契約上明示されていない場合、手付は解約手付と推定されるが、当事者は違約手付や証約手付として合意することもできる。