【問5】ビジネス実務法務検定2級 練習問題|表見代理が成立するための要件
企業取引・契約の法務 問5/20難易度C(難しい)
問題文
表見代理の3類型とその成立要件に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.代理権消滅後の表見代理は、代理権の消滅を知らず、かつ知らないことに過失がない第三者を保護する。
- 2.代理権授与の表示による表見代理では、表示を受けた相手方が悪意であっても本人は責任を免れない。
- 3.権限外の行為の表見代理は、行為者が何らの代理権も有していない場合であっても成立しうる。
- 4.表見代理が成立する場合、相手方はもはや無権代理人に対して履行や損害賠償の責任を追及できない。
解説
正解は1。代理権消滅後の表見代理は、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者を保護するが、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは本人は責任を負わない(民法112条1項)。すなわち第三者の善意無過失が要件となる。退任した従業員が社印を使って取引を続けた場合などが典型例である。2は誤り。代理権授与の表示による表見代理も、第三者が代理権を与えられていないことを知り、または過失によって知らなかったときは成立しない(民法109条1項ただし書)。3は誤り。権限外の行為の表見代理は、代理人が何らかの代理権(基本代理権)を有していることを前提として、第三者に代理権があると信ずべき正当な理由があるときに成立する(民法110条)。まったく代理権のない者の行為は、代理権授与の表示や代理権消滅後の事情がない限り、単なる無権代理となる。4は誤り。判例は、表見代理が成立する場合であっても相手方は無権代理人の責任を選択して追及することができるとし、無権代理人が表見代理の成立を主張して責任を免れることはできないとしている。3類型はいずれも、本人に帰責性があり、かつ相手方の信頼が正当であることを要件とする点で共通する。