【問2】ビジネス実務法務検定2級 練習問題|意思表示の瑕疵と第三者の保護
企業取引・契約の法務 問2/20難易度B(標準)
問題文
A社は、債権者による差押えを免れる目的でB社と通じ、売買の意思がないのに甲土地をB社へ売却したように仮装して所有権移転登記を移した。その後B社は、この事情を知らないCに甲土地を売却した。この仮装譲渡をめぐる次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.Cが仮装であることについて善意であれば、A社はCに対して売買が無効であることを対抗できない。
- 2.Cが仮装の事実を知っていた場合でも、Cが登記を備えていればA社は無効を対抗することができない。
- 3.Cが善意であっても、そのことについて過失があるときは、A社はCに対して無効を主張することができる。
- 4.A社とB社の間の売買は当事者間では有効に成立しており、A社はB社に対して甲土地の返還を求められない。
解説
正解は1。相手方と通じてした虚偽の意思表示は無効であるが、その無効は善意の第三者に対抗することができない(民法94条)。Cは仮装譲渡の外形を信頼して新たに利害関係をもった第三者にあたるから、A社はCに対して無効を主張できず、Cは甲土地の所有権を取得する。2は誤り。94条2項が保護するのは善意の第三者であり、悪意の第三者は登記を備えていても保護されない。3は誤り。94条2項の第三者は善意であれば足り、無過失までは要求されない。この点は、詐欺による取消しを善意でかつ過失がない第三者に対抗できないとする民法96条3項、および錯誤による取消しについて同様の要件を定める民法95条4項と異なるので、比較して押さえたい。なお強迫による取消しには第三者保護の規定がなく、善意無過失の第三者にも対抗することができる。4は誤り。通謀虚偽表示は当事者間では無効であるから、A社はB社に対し登記の抹消や土地の返還を請求することができる。2級では、無効か取消しかという効果の違いと、保護される第三者の主観的要件の差異を横断的に問われる。