賃貸不動産経営管理士と管理業務主任者の併願|試験日は3週間差、申込はどちらも9月30日まで
賃貸不動産経営管理士と管理業務主任者は、どちらも不動産の「管理」に関わる国家資格です。名前が似ているため混同されがちですが、扱う建物も根拠となる法律も別物です。一方で試験日は3週間しか離れておらず、申込の締切は同じ日。同じ年に両方受けるという選択が現実的に成り立ちます。
この記事では、令和8年度(2026年度)の日程をもとに、2資格の違いと、併願したときに何がどれだけ重なるのかを整理します。
比較表(令和8年度)
| 項目 | 賃貸不動産経営管理士 | 管理業務主任者 |
|---|---|---|
| 実施団体 | 賃貸不動産経営管理士協議会 | マンション管理業協会 |
| 対象の建物 | 賃貸住宅(アパート・賃貸マンション) | 分譲マンション(管理組合) |
| 試験日 | 2026年11月15日(日) | 2026年12月6日(日)13:00〜15:00 |
| 申込締切(WEB) | 9月30日 | 9月30日 |
| 受験手数料 | 12,000円 | 8,900円(別途 事務手数料297円) |
| 問題数・時間 | 50問・120分 | 50問・120分 |
| 免除 | 管理士講習の修了者は5問免除 | マンション管理士試験の合格者は5問免除 |
| 合格発表 | 12月下旬 | 2027年1月15日(金) |
令和7年度(2025年度)の実績は次のとおりです。
| 項目 | 賃貸不動産経営管理士 | 管理業務主任者 |
|---|---|---|
| 受験者数 | 31,792人 | 14,435人 |
| 合格者数 | 9,370人 | 2,832人 |
| 合格率 | 29.5% | 19.6% |
| 合格基準 | 50問中38問(免除者45問中33問) | 50問中36問(免除者45問中31問) |
(出典: 賃貸不動産経営管理士協議会および マンション管理業協会の各試験結果、ならびにこれを引用する予備校各社の公表値、2026年9月確認)
合格率だけを見ると賃貸不動産経営管理士のほうが通りやすく見えますが、合格基準点は38点と高く、取りこぼしが効きます。管理業務主任者は合格率19.6%と低いものの、基準点は36点です。「合格率が高い=楽」とは限らないのが、この2つを並べたときに最初に気づく点です。
なお合格基準点は年度ごとに決まります。上の数字は令和7年度の結果であって、令和8年度に同じ点数が基準になるとは限りません。
何が違うのか
いちばん大きな違いは、扱う建物と、その建物における立場です。
賃貸不動産経営管理士は、大家から賃貸住宅の管理を任された管理業者側の資格です。根拠法は賃貸住宅管理業法で、200戸以上を管理する業者には営業所ごとの業務管理者の設置が義務づけられており、この資格がその要件になります。サブリース(特定賃貸借)の規制も出題の中心です。
管理業務主任者は、分譲マンションの管理組合から管理を受託した業者側の資格です。根拠法はマンション管理適正化法で、管理業者は事務所ごとに一定数の管理業務主任者を置く必要があります。組合という団体を相手にするため、区分所有法と標準管理規約が出題の柱になります。
つまり、**片方は「大家と入居者」、もう片方は「管理組合と区分所有者」**という、登場人物からして違う試験です。名前が似ているからといって、内容が近いわけではありません。
それでも重なる部分はある
登場人物は違っても、建物の管理という営みは共通しているので、次の4つは相互に効きます。
- 民法:賃貸借、契約の成立と解除、債権の管理。賃貸不動産経営管理士では借地借家法と組み合わせて、管理業務主任者では「民法と関連法令」として出ます。
- 建物・設備:給排水、消防、電気、外壁や屋上防水といった維持保全。用語も点検の考え方も共通です。
- 会計:管理費や修繕積立金の扱い、仕訳の基本。管理業務主任者のほうが踏み込みます。
- 管理受託の契約:賃貸住宅管理業法の管理受託契約と、マンション標準管理委託契約書。根拠法も書式も別ですが、「委託する側とされる側で何を取り決めるか」という考え方の骨格は似ています。
一方、重ならない部分ははっきりしています。賃貸不動産経営管理士のサブリース規制と入居者募集・広告規制、管理業務主任者の区分所有法と標準管理規約は、それぞれもう一方の試験にはほぼ出ません。ここが実質的な追加学習量になります。
併願は成り立つか
日程の面では成り立ちます。
- 申込はどちらも9月30日が締切なので、受けるかどうかの判断は9月末までに一度で済みます。
- 試験日は11月15日と12月6日で3週間差。賃貸不動産経営管理士が終わってから、管理業務主任者の直前期に丸3週間使えます。
順番としては、先に来る賃貸不動産経営管理士を主、後の管理業務主任者を従に置く形が素直です。共通する民法・設備・会計を11月までに固めておけば、11月16日からの3週間は区分所有法と標準管理規約という「重ならない部分」に集中できます。
ただし、これは共通部分をどちらか一方の学習で本当に固め切れている場合の話です。11月時点で民法があやふやなまま12月を迎えると、3週間では足りません。片方だけでも確実に取るほうが、両方中途半端になるより結果は良くなります。
判断の材料として、それぞれ通しで解いてみるのが早いです。
- 賃貸不動産経営管理士の模擬試験(本試験と同じ50問・120分)
- 管理業務主任者の模擬試験(同じく50問・120分)
短時間で手ごたえだけ見たいときは、20問で採点と分野別の正答率が出る賃貸不動産経営管理士の本番形式テストと管理業務主任者の本番形式テストもあります。
どちらか一方を選ぶなら
勤め先や志望先で決まります。
賃貸管理会社、サブリース事業者、賃貸仲介と管理を兼ねる会社であれば賃貸不動産経営管理士です。マンション管理会社、フロント業務を志望するのであれば管理業務主任者になります。どちらの業界にも関わりうる立場なら、申込締切が同じである以上、両方申し込んでおいて、11月の手ごたえを見てから12月の受験を決めるという進め方もできます。受験手数料は無駄になりますが、9月末を過ぎると選択肢そのものが消えます。
問題演習は賃貸不動産経営管理士の練習問題と管理業務主任者の練習問題から始められます。どちらも登録は不要で、解いた記録はブラウザに残ります。
試験の日程・手数料・免除の要件は、必ず各実施団体の公式発表でご確認ください。