【問200】賃貸不動産経営管理士 練習問題|貸主と借主の利害が対立する場面の調整
賃貸管理の意義と管理士の役割 問15/15難易度B(標準)
問題文
借主Bが設備の故障の修繕を求めたのに対し貸主Aが費用の負担に難色を示している場合における、管理業者Cの立場と調整のあり方に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.Cは、修繕義務を負うのが賃貸人であることを前提に、放置した場合のリスクをAに説明し、常に公正な立場から双方の利害を調整すべきである。
- 2.Cは委託者であるAの意向に従うべき立場にあるから、Bからの修繕の要求については理由のいかんを問わずこれに取り合わないという対応をとれば足りる。
- 3.Cは、Bの要求が正当であると判断した場合には、Aの承諾を得ることなく自らの判断で高額の修繕工事を発注することができる。
- 4.Cは、AとBの利害が対立する場面では中立を保つ必要があるため、双方に対して助言や説明を行わず、当事者間の交渉に委ねるべきである。
解説
正解は1。管理業者は貸主から委託を受ける立場にあるが、賃貸住宅管理業法は入居者の居住の安定の確保を目的として掲げ、賃貸不動産経営管理士の倫理憲章も公正と中立性の保持を求めている。賃貸人は賃貸物の使用および収益に必要な修繕をする義務を負う(民法606条1項)から、Cとしては、修繕をしないまま放置すれば、賃借人が自ら修繕をすることができる場合が生じること(民法607条の2)や、使用および収益をすることができなくなった部分の割合に応じて賃料が当然に減額されること(民法611条1項)など、Aが被る不利益を具体的に説明したうえで、Aの判断を得て対応することになる。2は誤り。委託者の意向に従うといっても、賃貸人の法律上の義務に反する対応を助長することは許されない。3は誤り。修繕の要否と費用の判断は最終的には賃貸人の権限に属し、管理受託契約で授権された範囲を超える工事を独断で発注することはできない。4は誤り。中立とは説明を放棄することではなく、専門家として双方に必要な情報を提供し、円満な解決に努めることが求められる。三者の利害調整では、公正さと専門家としての説明責任が同時に問われる。