【問40】企業危機・コンプライアンス管理士 練習問題|取締役の善管注意義務と監視
コーポレートガバナンスと内部統制 問20/20難易度C(難しい)
問題文
L社の取締役Mは、営業部門で長期にわたり行われていた巨額の不正取引を見過ごし、会社に損害が生じた。内部統制システムに関する裁判例の一般的な考え方に照らし、最も適切なものはどれか。
- 1.取締役は自らが担当する業務以外には監視義務を負わず、他の取締役の職務執行を放置しても責任を問われない
- 2.内部統制システムの構築は取締役の裁量に委ねられており、どのような体制でも善管注意義務違反が問題となることはない
- 3.取締役は会社の規模や事業内容に応じたリスク管理体制を整備する善管注意義務を負い、怠って損害が生じれば責任を問われ得る
- 4.不正が発生した事実のみをもって取締役全員が当然に賠償責任を負い、体制の整備状況や不正の予見可能性は考慮されない
解説
正解は3。取締役は会社に対して善管注意義務を負い、会社の規模や事業内容に応じたリスク管理体制(内部統制システム)を整備する義務を負うと解されている。大和銀行事件(大阪地裁平成12年9月20日判決)は、体制の整備を怠ったことが取締役の義務違反に当たり得るとした。一方、日本システム技術事件(最高裁平成21年7月9日判決)は、通常想定される不正を防止し得る体制が整えられ、不正を予見すべき特別な事情もなければ、責任は否定されるとした。1は誤り。取締役は取締役会の構成員として、他の取締役の職務執行を監視する義務を負う。2は誤り。体制の構築は裁量を伴うが、裁量にも限界があり、義務違反が問題となり得る。4は誤り。不正の発生だけで当然に責任を負うのではなく、体制の整備状況や予見可能性などが判断される。