【問140】ビジネス実務法務検定2級 練習問題|仮差押えと仮処分の要件
債権の担保と回収 問20/20難易度B(標準)
問題文
取引先が資産を処分するおそれがあるため、訴訟の提起前に民事保全手続の利用を検討している。仮差押えおよび仮処分について、最も適切なものはどれか。
- 1.保全命令の発令を受けるには、被保全権利と保全の必要性を証明しなければならず、疎明では足りない。
- 2.仮差押命令は、必ず債務者を審尋する期日を経たうえでなければ発令することができない。
- 3.保全命令は債権者に担保を立てさせずに発するのが原則であり、担保が必要となるのは例外である。
- 4.金銭債権の将来の強制執行を保全するには、債務者の財産に対する仮差押命令の申立てを行う。
解説
正解は4。仮差押命令は、金銭の支払を目的とする債権について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき等に、債務者の財産の処分を禁じて将来の執行を保全する手続である(民事保全法20条1項)。これに対し、特定物の引渡請求権など金銭債権以外の権利を保全する場合には、処分禁止の仮処分や占有移転禁止の仮処分といった係争物に関する仮処分を用いる。
1は誤り。保全命令の申立てでは、保全すべき権利または権利関係および保全の必要性は疎明すれば足りる(民事保全法13条2項)。迅速な発令が求められるためである。2は誤り。仮差押命令は密行性が重視されるため、債務者を審尋せずに発令することができる。もっとも仮の地位を定める仮処分は、原則として口頭弁論または債務者が立ち会うことができる審尋の期日を経なければならない。3は誤り。裁判所は担保を立てさせて保全命令を発することができ、実務上は担保の提供が求められるのが通常である。
2級では、保全すべき権利の性質に応じた手続の選択と、疎明で足りることや担保の提供といった保全手続特有の要件を押さえておきたい。