【問98】ビジネス実務法務検定2級 練習問題|発信者情報開示命令の要件
情報の管理・活用とデジタル社会 問18/20難易度C(難しい)
問題文
匿名の投稿により権利を侵害されたと主張する者が発信者情報の開示を求める場合について、最も適切なものはどれか。
- 1.権利侵害が明らかであることに加え、開示を受けるべき正当な理由があることが必要である。
- 2.開示請求を受けたプロバイダは、発信者の意見を聴くことなく直ちに開示しなければならない。
- 3.発信者情報の開示は通常の民事訴訟によるほかなく、非訟の裁判手続は用意されていない。
- 4.この法律は権利侵害情報を放置したプロバイダに対し、常に損害賠償責任を負わせる仕組みである。
解説
正解は1。発信者情報の開示請求が認められるためには、侵害情報の流通によって開示請求者の権利が侵害されたことが明らかであること(権利侵害の明白性)と、発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があることの二つの要件を満たす必要がある。単に不快な投稿であるというだけでは足りない。
2は誤り。開示関係役務提供者は、開示するかどうかについて、原則としてあらかじめ発信者の意見を聴かなければならない。発信者の表現の自由や通信の秘密との調整を図る趣旨である。
3は誤り。令和3年の改正により発信者情報開示命令という非訟の裁判手続が創設され、提供命令および消去禁止命令とあわせて、コンテンツプロバイダと経由プロバイダに対する手続を一体的に進められるようになった。
4は誤り。この法律は本来、特定電気通信役務提供者が情報を削除しなかった場合や削除した場合の損害賠償責任を一定の要件のもとで制限する法律であり、責任を加重するものではない。令和6年の改正により法律名が情報流通プラットフォーム対処法に改められ、大規模なプラットフォーム事業者に対し、削除の申出窓口や手続の整備・公表、申出への一定期間内の対応と通知、削除基準の策定・公表などが義務付けられた。
2級では、自社がサービス提供者となる場合の削除対応と、被害者側として開示を求める場合の要件の双方を意識したい。