【問15】eco検定 練習問題|環境問題を扱った古典的著作
持続可能な社会と環境問題の歴史 問15/20難易度B(標準)
問題文
環境問題を扱った代表的な著作に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 1.ローマクラブの「成長の限界」は、公害の被害者を救済する制度の創設を各国に求め、日本の公害健康被害補償制度の直接の根拠となった
- 2.レイチェル・カーソンの「沈黙の春」は、化学合成農薬による汚染が生態系や人の健康に及ぼす影響を告発した著作である
- 3.レイチェル・カーソンの「沈黙の春」は、オゾン層の破壊を初めて指摘した報告書であり、モントリオール議定書の採択を受けて執筆された
- 4.ローマクラブの「成長の限界」は、人口や経済の成長が続いても資源面の制約は生じないと結論づけた報告書である
解説
正解は2。米国の生物学者レイチェル・カーソンが1962年に発表した「沈黙の春(Silent Spring)」は、DDTなどの化学合成農薬が生態系の中に取り込まれ、鳥をはじめとする生物や人の健康に影響を及ぼす危険性を具体的に描き出した著作である。鳥のさえずりが聞こえなくなった春という表題が示すとおり、目に見えにくい化学物質による汚染に警鐘を鳴らし、環境問題を一般の人々に広く意識させる大きな契機となった。
1は誤り。ローマクラブが1972年に公表した「成長の限界」は、人口増加や工業化、資源消費がこのまま続けば地球の成長はやがて限界に達すると警告した報告書であり、公害被害者の救済制度を各国に求めたものではない。3は誤り。「沈黙の春」が扱ったのはオゾン層破壊ではなく化学合成農薬による汚染であり、また同書はモントリオール議定書よりはるか以前に発表されている。4は誤り。「成長の限界」は資源面の制約が生じないと述べたものではなく、むしろ成長が続くことの危うさを指摘し、その後の環境と開発をめぐる議論に影響を与えた。
「沈黙の春」=化学物質(農薬)汚染への警鐘、「成長の限界」=成長そのものの限界への警告、という論点の違いを整理しておくと、環境問題が国際的な議題へと発展していく流れを理解しやすくなる。