【問217】知的財産管理技能検定2級 練習問題|実用新案権侵害の損害賠償請求の要件
実用新案法・種苗法 問20/23難易度B(標準)
問題文
実用新案権の侵害者に対する差止請求や損害賠償請求について、最も適切なものはどれか。
- 1.技術評価書を提示して警告した後でなければ権利を行使できない。
- 2.実用新案技術評価書がなくても、損害賠償請求は当然に認められる。
- 3.特許庁長官の許可を得た場合に限り、侵害者に損害賠償を請求できる。
- 4.侵害に対して差止請求はできるが、損害賠償請求は一切認められない。
解説
正解
正解は選択肢1です。
各選択肢の解説
選択肢1 → ✅正解
正しい記述です。実用新案法第29条の2により、実用新案権者又は専用実施権者は、実用新案技術評価書を提示して警告をした後でなければ、侵害者等に対して権利を行使することができません。無審査で登録される制度の安全弁として置かれた規定です。
選択肢2 → ❌誤り
無条件に認められるとする点が誤りです。実用新案法第29条の2は、実用新案技術評価書を提示して警告をした後でなければ権利を行使できないと定めており、損害賠償請求もこの制限を受けます。
選択肢3 → ❌誤り
特許庁長官の許可を要件とする規定は存在しません。権利行使の前提として求められるのは、実用新案技術評価書の提示を伴う警告です。
選択肢4 → ❌誤り
損害賠償請求を一律に否定する点が誤りです。第29条の2の要件を満たせば、差止請求も損害賠償請求もいずれも可能です。
背景知識
実用新案登録は実体審査を経ずに登録されるため、登録されていることが直ちに考案の新規性や進歩性を保証しません。そこで実用新案法は、権利行使の前段階で特許庁の客観的な評価を経ることを求め、実用新案技術評価書を提示して警告した後でなければ権利行使できないとしています(第29条の2)。あわせて第29条の3は、後に登録が無効となった場合に権利者側が相手方の損害を賠償する責任を負う旨を定め、無効な権利による濫用的な権利行使を抑止しています。技術評価の請求自体は何人もできる制度で、その根拠は第12条です。
学習アドバイス
第12条(評価の請求)と第29条の2(評価書の提示=権利行使の要件)、第29条の3(権利者の責任)の3つを役割ごとに区別して覚えてください。条番号と機能の対応を取り違える出題が定番です。
まとめ
- 権利行使には実用新案技術評価書を提示した警告が前提となる(第29条の2)
- 差止請求も損害賠償請求もこの制限を受ける
- 評価の請求根拠は第12条、権利者の賠償責任は第29条の3と条文が分かれる