【問39】ビジネス実務法務検定3級 練習問題|取得時効の要件
問題文
取得時効に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.他人の物を所有の意思をもって平穏かつ公然と20年間占有した者は、その所有権を取得する。
- 2.占有開始時に善意無過失であれば、占有期間にかかわらず即座に所有権を取得する。
- 3.取得時効は他人の物のみが対象であり、自己の物には適用されない。
- 4.他人の不動産を10年間占有すれば、占有開始時の善意・悪意を問わず時効取得できる。
解説
正解
正解は選択肢1です。
各選択肢の解説
選択肢1 → ✅
民法162条1項により、20年間、所有の意思をもって、平穏かつ公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得します。これが取得時効の長期占有の要件です。
選択肢2 → ❌
民法162条2項により、占有開始時に善意かつ無過失であった場合は10年で取得時効が完成します。即座に取得するわけではありません。
選択肢3 → ❌
取得時効は他人の物だけでなく、自己の物にも認められます(判例)。所有権を主張する証拠が不足する場合などに自己物について時効を援用するメリットがあります。
選択肢4 → ❌
10年の取得時効(民法162条2項)は占有開始時に善意かつ無過失であることが要件です。悪意者は20年(同条1項)が必要です。
背景知識
取得時効は、他人の物を一定期間占有することで所有権その他の財産権を取得する制度です。所有権の取得時効には(1)20年の長期取得時効(民法162条1項):平穏・公然・所有の意思の占有、(2)10年の短期取得時効(同条2項):上記要件+占有開始時の善意無過失、の2類型があります。占有の要件は(1)所有の意思(自主占有)、(2)平穏・公然(暴力・隠匿でない)、(3)継続性(中断なし)です。所有権以外の財産権(地上権・地役権・賃借権など)も時効取得できます(163条)。占有が暴行・強迫または隠匿により始まった場合は、取得時効は認められません。占有承継(187条)により、占有の継続を主張できます。時効取得の効果は遡及効を持ち、占有開始時から所有していたことになります(144条)。
学習アドバイス
20年(悪意・有過失でも可)と10年(善意無過失)の二重構造を必ず覚えましょう。要件「所有の意思+平穏+公然」を3点セットで暗記してください。占有開始時の主観要件(善意無過失)は10年時効でのみ問題となる点も頻出です。
まとめ
- 20年の取得時効:所有意思+平穏公然(162条1項)
- 10年の取得時効:上記+善意無過失(162条2項)
- 占有開始時の主観要件は10年時効でのみ判断