【問34】ビジネス実務法務検定3級 練習問題|時効の援用
問題文
時効の援用に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.時効は当事者の援用なしに当然に効力が生じる。
- 2.時効は当事者の援用なしに裁判所は裁判できない。
- 3.時効の援用権は時効完成と同時に当然に消滅する。
- 4.時効の利益はあらかじめ放棄することができる。
解説
正解
正解は選択肢2です。
各選択肢の解説
選択肢1 → ❌
民法145条により、時効は当事者(援用権者)が援用しなければ裁判所はこれによって裁判をすることができません。当然効力ではなく援用が必要です。
選択肢2 → ✅
民法145条によれば時効は当事者の援用によって裁判上効力を発揮します。2017年改正で「消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む」と援用権者が明文化されました。
選択肢3 → ❌
時効の援用権は時効完成後にも存在し、援用権者は時効完成後いつでも援用できます。当然消滅するのではなく、援用または放棄により処理されます。
選択肢4 → ❌
民法146条により、時効の利益は「あらかじめ」(時効完成前に)は放棄することができません。これは弱者保護のためで、貸主が借主に事前放棄を要求することを防ぐ規定です。完成後の放棄は可能です。
背景知識
時効制度は永続した事実状態を尊重し、社会秩序を維持するための制度です。時効には取得時効(民法162条)と消滅時効(166条)があり、いずれも援用がなければ裁判所は判断できません(145条)。援用権者は当事者本人だけでなく、時効により直接利益を受ける第三者(保証人、物上保証人、第三取得者など)も含まれることが2017年改正で明文化されました。時効利益の事前放棄は無効ですが(146条)、これは経済的弱者保護のためです。完成後の援用権の放棄は有効で、債務承認も援用権の喪失をもたらすことがあります(信義則上)。時効の更新(改正前の中断)・完成猶予(改正前の停止)は147〜161条に詳細に規定されています。
学習アドバイス
時効には援用が必要(145条)、援用権者の範囲(2017年改正で明文化)、事前放棄は無効(146条)を必ず押さえましょう。「時効は呼ばないと使えない」と覚えると援用必要性が頭に残ります。完成前放棄無効、完成後放棄有効という対比も重要です。
まとめ
- 時効は援用なしに効力を生じない(145条)
- 援用権者には保証人・物上保証人等を含む
- 時効利益の事前放棄は無効(146条)