【問201】福祉住環境コーディネーター2級 練習問題|高齢者の見守りシステムと自律性の尊重
高齢社会と住環境整備 問21/29難易度B(標準)
問題文
認知機能が低下し始めた高齢者について、転倒や外出時に道に迷うリスクへの備えを検討することになった。本人の自己決定を尊重しながら安全を確保する進め方として、最も適切なものはどれか。
- 1.必要最小限の見守り機器を、本人と家族が話し合い本人の納得を得て選ぶ
- 2.本人に知らせずに位置情報機器を持ち物へ入れ、行動を常時把握できるようにする
- 3.認知機能が低下しているため本人への意思確認は省き、家族だけで決定する
- 4.見守り機器は一切使わず、家族が終日付き添うことだけで安全を確保する
解説
正解
正解は選択肢1です。
各選択肢の解説
選択肢1 → ✅正解
意思決定支援ガイドラインは、認知機能が低下していても本人の意思を尊重し、意思形成・意思表明・意思実現の各段階を支援することを基本としている。本人が必要性を理解し納得して選んだ機器は、実際に使われ続ける可能性も高い。
選択肢2 → ❌誤り
本人の同意なく位置情報を把握することは、プライバシーと自己決定の侵害にあたる。厚生労働省の意思決定支援ガイドラインは、本人の示した意思の尊重を基本原則としており、無断の把握は本人との信頼関係も損なう。
選択肢3 → ❌誤り
意思決定能力は「ある・ない」の二分で判断せず、本人に残された能力を最大限活かして支援するのが原則である。確認を省くことは本人の権利を損なう。
選択肢4 → ❌誤り
終日の付き添いを前提とする方法は現実的でなく、介護者の負担が過大になる。本人が常に家族の監視下に置かれることにもなり、自立した生活を妨げる。
背景知識
認知機能が低下しても、本人の尊厳と自己決定の権利は失われない。厚生労働省の「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」は、本人の示した意思は原則として尊重されること、本人の認知能力に応じて理解しやすく説明することを求めている。支援は意思形成支援・意思表明支援・意思実現支援の3段階で構成される。見守り機器の導入も例外ではなく、本人が納得して選んだかどうかが受容性と継続使用を左右する。安全確保を理由に本人を外して決めることは、リスク管理としても長続きしない。
学習アドバイス
「何が最も安全か」だけでなく「どうすれば本人が納得して使い続けられるか」を必ずセットで問う姿勢を身につけたい。
まとめ
- 安全確保の場面でも、本人の同意と参加が倫理的な出発点となる
- 認知機能の低下があっても、残された能力を活かして意思決定を支援する
- 意思決定支援は意思形成・意思表明・意思実現の3段階で考える