【問210】eco検定 練習問題|農業集約化と化学肥料による水環境汚濁
いま地球で起きていること 問15/23難易度B(標準)
問題文
集約的農業に伴い、化学肥料の使用量は過去50年で3倍以上に増加しました。化学肥料の過剰使用が招く主な環境負荷として最も適切なものはどれか。
- 1.化学肥料の増加により、農地の土壌が急速にアルカリ化し、すべての作物が育たなくなる。
- 2.肥料の窒素分が大気中の酸素に変わり、地表付近の酸素濃度を大幅に高める。
- 3.化学肥料の使用により、土壌の微生物活動が完全に停止し、新たな有機物分解が不可能になる。
- 4.肥料由来の窒素とリンが河川・湖沼に流出し、富栄養化や赤潮・アオコを招く。
解説
正解
正解は選択肢4です。
各選択肢の解説
選択肢1 → ❌誤り
硫安や尿素など窒素質肥料の多用はむしろ土壌を酸性化させる方向に働く。一律にアルカリ化して作物が育たなくなるという事実はない。
選択肢2 → ❌誤り
肥料の窒素は一酸化二窒素やアンモニアなどとして一部が大気に移行するが、酸素に変化して酸素濃度を高めるという現象は起こらない。
選択肢3 → ❌誤り
微生物相の構成が変化することはあっても活動が完全に停止することはなく、施肥によって活性が高まる微生物もいる。
選択肢4 → ✅正解
水域に窒素・リンが過剰に供給されると藻類が異常繁殖し、水質悪化と底層の貧酸素化を引き起こす。世界の沿岸には400カ所を超える貧酸素水域(デッドゾーン)が確認されている。
背景知識
世界の無機質肥料の使用量はFAO統計で2023年に約1億9000万トン(窒素約1億1200万トン、リン約4100万トン、カリ約3800万トン)に達し、1960年代半ばの約4倍に増えました。施用された窒素のうち作物に吸収されるのは半分程度で、残りは水系や大気へ失われます。その結果として沿岸には貧酸素・無酸素の『デッドゾーン』が広がり、2008年の調査では世界で400カ所を超えると報告されました。食料増産と水環境保全の両立が国際的な課題となっています。
学習アドバイス
「多く使うほど収量が上がる」という誤解と、施肥量に見合わない環境コストの関係をセットで押さえておくとよい。
まとめ
- 化学肥料の過剰流出が水質汚濁をもたらす
- 富栄養化は生態系を大きく変化させる
- 農業生産と環境保全のバランスが課題である