【問227】知的財産管理技能検定2級 練習問題|独占禁止法応用:ライセンス契約条件と競争制限
問題文
X社は自社の医療用特許について、ライセンス供与先に『年間営業利益の30%をロイヤリティとして支払うこと』『ライセンス期間中は他の競合技術の使用を禁止すること』という条件を提示した。これらの条件は独占禁止法上、問題が生じる可能性があるか。
- 1.ロイヤリティ率の高さ自体が直ちに違反となる
- 2.特許権の行使なので独占禁止法は一切適用されない
- 3.ライセンス契約は契約自由の原則により規制を受けない
- 4.競合技術の使用禁止が不公正な取引方法に当たり得る
解説
正解
正解は選択肢4です。
各選択肢の解説
選択肢1 → ❌誤り
公正取引委員会の指針が問題視するのは、ライセンス技術と無関係な基準でライセンス料を課すような場合である。料率の水準そのものは原則として独占禁止法上問題とされない。
選択肢2 → ❌誤り
独占禁止法21条は権利の行使と認められる行為を適用除外とするが、知的財産制度の趣旨を逸脱し又はその目的に反する行為は「権利の行使と認められる行為」に当たらず、独占禁止法が適用される。
選択肢3 → ❌誤り
契約自由の原則があっても、競争を実質的に制限し又は公正な競争を阻害する契約条件は独占禁止法の規制対象となる。
選択肢4 → ✅正解
ライセンシーに競争品の取扱いや競争技術の採用を制限する行為は、公正競争阻害性が認められれば独占禁止法19条の不公正な取引方法(排他条件付取引・拘束条件付取引)に該当し得る。該当性は当事者の市場における地位や代替技術の有無等により個別に判断される。
背景知識
独占禁止法21条は、著作権法・特許法・実用新案法・意匠法・商標法による権利の行使と認められる行為には同法を適用しないと定めています。もっとも公正取引委員会の「知的財産の利用に関する独占禁止法上の指針」は、知的財産制度の趣旨を逸脱し又はその目的に反する行為は「権利の行使と認められる行為」とは評価できず、独占禁止法が適用されるとしています。ライセンシーに競争品の製造・販売や競争技術の採用を制限する行為は、公正競争阻害性が認められれば19条の不公正な取引方法(排他条件付取引・拘束条件付取引)に当たり得ます。一方、ライセンス料の水準そのものは原則として問題とされず、同指針が問題視するのはライセンス技術と無関係な基準で料金を課す場合です。
学習アドバイス
独占禁止法21条(適用除外)と19条(不公正な取引方法の禁止)の関係を押さえる。判断の軸は料率の高低ではなく「競争を排除する条件かどうか」。
まとめ
- 知的財産権の行使でも制度の趣旨を逸脱すれば独占禁止法が適用される
- 競合技術の使用禁止は19条の不公正な取引方法に当たり得る
- ライセンス料の水準そのものは原則として問題とされない