【問226】知的財産管理技能検定2級 練習問題|商標権侵害罪と故意
関連法規 問16/21難易度B(標準)
問題文
Dさんが著名ブランドの商標権者に無断で、その商標と同一の商標をつけた商品を製造・販売した。Dさんの故意について立証できない場合、商標法上の刑事責任は成立するか。
- 1.商標権侵害罪は故意犯であり成立しない
- 2.過失でも商標法78条の刑事責任に問われる
- 3.過失の推定規定により刑事上の故意も推定される
- 4.商標権は登録されているため故意の立証は不要となる
解説
正解
正解は選択肢1です。
各選択肢の解説
選択肢1 → ✅正解
刑法38条1項により、過失犯を処罰するには法律に特別の規定が必要である。商標権侵害罪を定める商標法78条には過失犯処罰規定がないため故意犯であり、故意が立証できなければ刑事責任は成立しない。
選択肢2 → ❌誤り
商標法78条は過失犯を処罰する規定を置いていないため、過失で刑事責任を問うことはできない。
選択肢3 → ❌誤り
商標法39条が準用する特許法103条の過失の推定は、民事上の損害賠償請求における規定である。刑事責任の要件である故意にまでは及ばない。
選択肢4 → ❌誤り
商標が登録され公示されていることは故意の立証を不要にするものではない。刑事責任を問うには検察官が故意を立証する必要がある。
背景知識
商標法78条は、商標権又は専用使用権を侵害した者を10年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科すると定めています。刑法38条1項は「罪を犯す意思がない行為は、罰しない」と定め、過失犯を処罰するには法律の特別の規定が必要ですが、商標法78条にそのような規定はありません。したがって商標権侵害罪は故意犯であり、故意の立証責任は検察官が負います。他方、民事の損害賠償請求では商標法39条が準用する特許法103条により侵害者の過失が推定され、侵害者側が過失のなかったことを立証しない限り責任を免れません。刑事と民事で立証の構造が逆になる点が要注意です。
学習アドバイス
民事では過失が推定されるのに対し、刑事では検察官が故意を立証しなければならない。この非対称を押さえると出題意図が読める。
まとめ
- 商標権侵害罪の罰則は商標法78条である
- 商標法78条に過失犯処罰規定はなく商標権侵害罪は故意犯である
- 民事の過失推定(商標法39条・特許法103条準用)は刑事の故意には及ばない