【問208】知的財産管理技能検定2級 練習問題|TRIPS協定における最恵国待遇
国際条約 問22/24難易度B(標準)
問題文
TRIPS協定が規定する「最恵国待遇」の内容として、最も適切なものはどれか。
- 1.他の国の国民に与えた利益を、すべての加盟国の国民に無条件で与える義務。
- 2.特定の加盟国との二国間交渉によって合意した、知的財産権の保護の基準。
- 3.開発途上国の国民に対してのみ、知的財産権の保護を優先的に拡大していく制度。
- 4.自国民の知的財産権を、外国の国民のものより手厚く保護してよいとする権利。
解説
正解
正解は選択肢1です。
各選択肢の解説
選択肢1 → ✅正解
TRIPS協定4条の内容です。知的所有権の保護に関し、加盟国が他の国の国民に与える利益、特典、特権又は免除は、他のすべての加盟国の国民に対し即時かつ無条件に与えなければならないとされています。
選択肢2 → ❌誤り
最恵国待遇は多数国間に及ぶ一般原則であり、二国間交渉の成果そのものを指す概念ではありません。むしろ二国間で一国に与えた利益が他のすべての加盟国にも及んでしまう点にこの原則の意味があります。
選択肢3 → ❌誤り
最恵国待遇は加盟国間の差別を禁じる平等原則であり、特定の国を優遇する仕組みではありません。開発途上加盟国への配慮は経過措置(65条・66条)など別の規定で手当てされています。
選択肢4 → ❌誤り
自国民を優遇して外国人を不利に扱うことは、内国民待遇(TRIPS協定3条)に反します。最恵国待遇はさらに、外国人どうしの間でも差別してはならないことを求めるものです。
背景知識
TRIPS協定はWTO協定の一部として1995年に発効し、知的所有権の保護に関する最低限の基準を定めます。その基本原則が3条の内国民待遇と4条の最恵国待遇です。最恵国待遇はGATT・GATSにも共通するWTOの基本原則で、加盟国が他の国の国民に与えた利益等を他のすべての加盟国の国民に即時かつ無条件に及ぼす義務をいいます。ただし4条ただし書には、司法共助に関する協定に基づくものや、ベルヌ条約・ローマ条約に従って与えられるものなど、いくつかの除外事由が置かれています。
学習アドバイス
内国民待遇は「自国民と外国人の間の差別禁止」、最恵国待遇は「外国人どうしの間の差別禁止」と対比して覚えると取り違えません。
まとめ
- TRIPS協定4条が知的所有権に関する最恵国待遇を定める
- 一国に与えた利益は他のすべての加盟国に即時かつ無条件で及ぶ
- 内国民待遇(3条)と最恵国待遇(4条)がTRIPS協定の二大原則