【問207】知的財産管理技能検定2級 練習問題|PCT(特許協力条約)における優先権の確保
国際条約 問21/24難易度B(標準)
問題文
日本の特許出願を基礎としてパリ条約による優先権を主張し、PCT国際出願をした場合の期間に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 1.国際公開がされるまでは、指定国において優先権の主張は認められない。
- 2.優先期間は12月のままだが、各国の国内移行は原則30月以内でよい。
- 3.PCT国際出願をすることで、優先期間そのものが優先日から30月に延長される。
- 4.国際出願日が優先日となるため、基礎出願日を基準日とすることはできない。
解説
正解
正解は選択肢2です。
各選択肢の解説
選択肢1 → ❌誤り
優先権の主張は国際出願の時(又は所定期間内の追加)に行うものであり、国際公開を待つ必要はありません。国際公開は優先日から18月経過後にされる手続で、優先権の効力とは別のものです。
選択肢2 → ✅正解
PCTを利用しても優先期間はパリ条約4条Cの12月で変わりません。PCTが与える猶予は、翻訳文の提出や国内手数料の納付など各国の国内段階へ移行する期限であり、優先日から原則30月です(PCT22条・39条)。
選択肢3 → ❌誤り
優先期間と国内移行期限を混同した記述です。優先期間はパリ条約4条Cの12月のままで、PCTを利用しても延長されません。30月は各国の国内段階へ移行するための期限です。
選択肢4 → ❌誤り
PCT国際出願は各指定国において正規の国内出願とみなされ(PCT11条(3))、優先権を主張すれば基礎出願日が新規性等の判断の基準日となります。国際出願日が基準日になるわけではありません。
背景知識
PCTは、一つの国際出願によって多数の国に同時に出願したのと同じ効果を得るための制度です。ここで最も混同しやすいのが「優先期間」と「国内移行期限」の区別です。パリ条約4条Cの優先期間は12月であり、PCTを使っても1日も延びません。PCTが与えるのは、各国での翻訳文提出や国内手数料納付を優先日から原則30月まで先送りできるという猶予であり、その間に各国へ出願するかどうかを判断できる点に実務上の価値があります。
学習アドバイス
「延びるのは移行期限、延びないのは優先期間」と対にして覚えましょう。12月と30月を取り違える出題が繰り返されています。
まとめ
- 優先期間は12月であり、PCTを使っても延長されない
- 国内段階への移行期限は原則として優先日から30月
- PCT国際出願は各指定国において正規の国内出願とみなされる