【問231】知的財産管理技能検定3級 練習問題|営業秘密侵害の時効
不正競争防止法 問14/15難易度C(難しい)
問題文
2020年に不正な手段で営業秘密を取得された企業が、2024年になって初めてその事実を知った。民事上の損害賠償請求権について最も適切な説明はどれか。
- 1.取得の時から三年以上経過しているので請求権は消滅している。
- 2.営業秘密の侵害には消滅時効の定めが一切適用されない。
- 3.損害及び加害者を知った時から三年以内なら賠償請求できる。
解説
正解
正解は選択肢3です。
各選択肢の解説
選択肢1 → ❌誤り
民法724条1号の3年は「損害及び加害者を知った時」から起算する。侵害行為があった2020年からではないため、これだけを理由に消滅するとはいえない。
選択肢2 → ❌誤り
営業秘密侵害による損害賠償請求権にも民法724条の消滅時効が適用される。さらに使用行為の差止請求権には不正競争防止法15条が独自の時効を定めており、時効が及ばないということはない。
選択肢3 → ✅正解
民法724条1号により、消滅時効は「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間」で起算される。2024年に知ったのであれば、2027年までは請求権を行使できる。なお同条2号の「不法行為の時から二十年」も未経過である。
背景知識
営業秘密の不正取得等による損害賠償請求は不正競争防止法4条に基づくが、その消滅時効は民法724条の不法行為の規定による。すなわち「損害及び加害者を知った時から3年」(1号)と「不法行為の時から20年」(2号)の二本立てである。営業秘密の漏えいは発覚が遅れやすいため、実務では起算点が争点になりやすい。なお営業秘密を使用する行為に対する差止請求権については、不正競争防止法15条が「知った時から3年」「行為の開始の時から20年」という時効を別に定めている。
学習アドバイス
時効は起算点を正確に押さえることがすべての問題。損害賠償は民法724条(3年・20年)、使用行為の差止めは不正競争防止法15条(3年・20年)と、根拠条文ごとに整理しておくこと。
まとめ
- 損害賠償請求権の時効は民法724条により「知った時から3年」「不法行為の時から20年」である。
- 3年の起算点は侵害行為があった日ではなく、損害及び加害者を知った日である。
- 営業秘密の使用行為に対する差止請求権には、不正競争防止法15条の時効が別に定められている。